南島でも酪農業界の再編 (NZ)




● 従来は北島を中心に合併が推進

 ニュージーランドの酪農協は、 近年、 急速に合理化、 大規模化が進んでおり、 
70年代に95組合だったものが、 吸収や合併により、 90年には18組合まで
集約された。 さらに、 ここ1年ほど、 再び合併熱が高まっており、 特に伝統的な
酪農地域である北島で大型合併が進み、 現在では12組合までに統合された。 そ
うした統合を通じて、 北島の二大酪農協による生乳処理シェアは全国の約7割に
達している。 

 これに対して、 新興酪農地域である南島は、 依然として中小規模の酪農協が多
く、 北島の大規模勢力との対抗上、 再編への動きが活発化していた。 南島のなか
でも、 比較的規模の大きいアルパイン酪農協とサウスランド酪農協の合併が具体
化するなか、 地理的に両者の中間に位置するオタゴ酪農協の動向が注目されてい
た。 


● 初の南北にわたる合併への動きに反響

 ところがここへきて、 南島のオタゴ酪農協と、 北島の大規模酪農協であるキウ
ィ酪農協との合併計画が公表されたことから、 業界内ではその是非をめぐる議論
が高まっている。 

 今回の計画が議論を呼んでいるのは、 取りも直さず、 第2位の規模を誇り、 NZ
の生乳生産の約25%を処理する北島の大規模酪農協が、 南島への進出を見せは
じめたことにある。 これまで合併では、 相互に隣接しているといった地理的条件
が大きな前提となっており、 南北にわたる今回の合併計画は、 従来から南島とし
ての統一酪農協の設立を目指してきたアルパイン酪農協とサウスランド酪農協の
関係者に動揺を与えている。 

 現在のところ、 キウィ酪農協傘下の生産者は、 オタゴの負債が大きく、 また合
併による利点も不明確であり、 生産者不在のまま計画が進んでいるとして計画に
疑問を示している。 今後、 合併による経済効果の分析を待って、 最終的な判断が
下されるものとみられている。 また、 南島の他の酪農協からは、 上部組織である
ニュージーランド・デイリーボードにおける南島の発言力を強化するためにも、 
南島内の酪農協による合併が望ましいとして、 再考を求める声が上がっている。 


● 不可避的な南島の酪農協再編

 昨年のデイリーボード法の改正により、 酪農協を通じての生産者側の発言力が
強化されたため、 酪農協は、 従来のスケールメリットを目的としたものに加えて、 
NZ酪農業界での発言力強化を狙う戦略に基づき合併を進めている側面もある。 こ
のため、 今回のキウイ酪農協の南島への進出は、 拡大する南島酪農へのくさびと
の見方もある。 

 国際乳製品市場でのシェア拡大に向けて、 業界内部では、 将来的には主要乳製
品の生産を2〜3の大規模酪農協に集約化することが必要との声もあり、 どのよ
うな形にせよ、 南島の酪農協再編は避けられないものと見られる。 



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