平均関税率を17%に引き下げ (中国)




● 農産物の平均関税率は21. 2%

 中国は、 10月1日から、 4,874の品目について、 関税の引き下げを実施
した。 中国は92年以来、 これまでの間に、 4回の大幅な関税率引き下げを実施
しているが、 その結果、 総平均関税率 (総平均:以下同じ) は、 43%から17
%に約60%引き下げられた。 

 今回の措置によって、 総平均は23%から17%に引き下げられており、 その
下げ幅は26%と大幅なものとなっている。 特徴としては、 ハイテク分野やエネ
ルギー関連など、 国内に供給不足感のある品目では、 引き下げ幅が特に大きくな
っている。 分野別の平均関税率をみると、 農産物が21.2%と、 総平均をかな
り上回っているのに対して、 工業製品は16.4%、 また、 石油製品は7.9%
と総平均を大きく下回っている。 


● 畜産物、 バターやチーズの下げ幅が大

 主要な畜産物については、 冷凍・冷蔵食肉 (牛、 豚、 家禽等) が50%から4
5%に、 粉乳が30%から25%に、 バターおよびチーズが65%から50%に、 
それぞれ関税率が引き下げられている。 バター、 チーズの下げ幅が大きいのは、 
粉乳類が乳製品の大部分を占める生産状況の下で、 所得の急上昇が続く沿海部の
大都市を中心に、 それらの品目の需要が急増していることに対処して、 それまで
高すぎた税率の是正に動いたものとみられる。 

 なお、 糧食など、 国家の食料供給政策の根幹を成す基礎的な農産物の税率はほ
ぼ、 現行税率に据え置かれている。 


● WTO加盟の促進を念頭に置いた市場開放

 中国は、 対外政策面においては、 国際社会でより大きな役割を担うことを優先
課題としている。 その中でも最大の課題となっている世界貿易機関(WTO) への加
盟実現のためには、 一層の市場開放措置が求められている。 また、 江沢民国家主
席は、 96年のアジア太平洋経済協力会議 (APEC) 首脳会議で、 2000年まで
に関税率を15%前後にまで引き下げるとの方針を示したが、 今回の引き下げは、 
その前倒し実施的側面を有すると受け止められている。 また、WTO加盟の前提条件
となる貿易の自由化問題などについて、 先頃の加盟交渉において、 中国が交渉国
相手に示した提案には、 企業の輸出・輸入に関する権利を2000年までに自由
化することが盛り込まれており、 全国人民代表大会 (国会に相当) でもこの輸出
入自由化の方向づけが承認されている。 今回の関税引き下げも含めて、 これら一
連の市場開放政策の推進は、 中国の対外開放・国際社会における役割の拡大への
熱意を示し、 WTOへの加盟を加速させる狙いであるとみられる。 



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