USDA、 国内支持分野の分析結果を公表 (米国)




● AMS値、 大幅な減少に

 米農務省は、 先ごろ、 世界貿易機関(WTO) 協定に基づく国内支持削減に関する
見通しを公表した。 

 これによれば、 国内農業の支持水準は、 95年から98年までの期間で、WTO協
定で約束した水準の27%となり、 さらに約束実施の最終年である2000年に
は、 わずか6%になると予測している。 

 WTO協定では、農産物貿易の拡大を図るため、 国内支持、 国境措置、 輸出補助金
の3分野について、 それぞれ削減を図ることとなっているが、 このうち国内支持
については、 総合的計量手段 (AMS:内外価格差×支持対象数量+国内補助金)を
用いて計測することになっており、 2000年までに、 基準期間 (86年〜88
年) のAMS水準から20%削減することが約束されている。 


● 新農業法下でもAMS上昇要素なし

 こうした楽観的な見方を支える背景としては、 まず第1に、WTO協定において取
り決められた、 削減対象としない国内支持に関する規定等が挙げられる。 中でも
不足払いに関する規定と、AMSが産品トータルで計算されることになったことが大
きく寄与している。 

 このうち、不足払い制度は、 基準期間における削減ベースの算出においてはAMS
の計算対象となっていたが、 それが最終合意では、 約束の実施期間 (95年〜2
000年) において、 新たな支持削減措置を講じなくとも、 最終年次の約束水準
が達成されている状況となった。 

 第2に、 85年以降の米国の農業政策の動向が、 より市場志向性を強めるとと
もに、 補助金の削減に向けて展開されていることが挙げられる。 

 96年農業法において不足払い制度が撤廃され、 生産弾力化契約に基づく固定
支払制度が導入された。 これにより、 当面の国際穀物需給からみて、 農家への補
助金総額は不足払い制度よりも増加することが予想されるにもかかわらず、 固定
支払い制度は過去の基準生産量に基づくものであることから、 グリーン (削減対
象としない) の政策とされるデッカップルされた直接支払いとみなされ、AMSの計
算の対象から除外されることになったからである。 


● 次期ラウンド交渉で優位に

 また、実施期間終了後の将来のAMSの水準も極めて低レベルになるとみられるこ
とについては、 加工原料乳価格支持制度の撤廃が大きく寄与している。 この制度
は、 95年AMSの75%を占めていたが、2000年以降は同制度の廃止にともな
いゼロになるとされている。 このため、2000年以降においてもAMSが増加する
要素はないとみられる。 

 以上から、AMSの約束水準が容易に達成できると見込まれることや、 実施期間以
降も拡大する要素はないことから、 次期ラウンドにおいて、 国内支持の削減につ
いても、 米国が強気の姿勢で交渉に臨んでくるものと専門家は見ている。 



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