◇絵でみる需給動向◇
四半期毎に行われている豪州フィードロット協会 (ALFA) と豪州食肉畜産公社 (AMLC) によるフィードロットの飼養動向調査によると、 96年12月末のフィード ロット飼養頭数は約36万6千頭となり、 同年9月末前回調査時点と比較すると約 12%の増加となった。 これは、 9月調査時点に出された予測値を約2万6千頭も 上回るものとなっている。 さらに、 次回の97年3月調査における予測では、 今回 をさらに9%上回る39万9千頭が見込まれており、 飼養頭数の回復の兆候が一段 と顕著になるとみられている。 こうした増頭傾向を背景として、 フィードロット施設の利用率は、 12月は9月 より5ポイント上昇して44%となった。 さらに97年3月には48%に向上すると予 測されており、 その後、 早いうちに、 50%台に回復すると期待されている。 一方、 これに対してフィードロット全体の収容能力は次回予測も含めて僅かな がら低下傾向が続いている。 これは96年から相次いでいるフィードロットの閉鎖 の影響が現れはじめたものと考えられる。
12月の飼養動向を州別に見ると、 最も顕著な伸びを見せたのはニューサウスウ ェールズ州 (+29.4%) である。 これに対し、 昨年6月時点でいち早く回復傾向 が現れていたクイーンズランド州では僅かな伸び (+1.2%) に止まった (両州 は、 フィードロット産業の主要州であり、 飼養頭数全体の9割を占める構造とな っている)。 また、 第3位のビクトリア州 (約4%) の飼養頭数について見ると、 9月に比べて8.7%減となっており、 同州における大型フィードロットの規模縮 小の影響が現れた形となっている。 しかしながら、 全体としては次回調査の予測 では一転して90%以上の増加となるとみられており、 先行する主要州に続いて、 それ以下のグループにも回復傾向が現れてくることが明らかとなっている。
州別フィードロットの飼養頭数
資料:ALFA / AMLC 「National Feedlot Servey」
飼養頭数が大きな回復傾向を示している要因としては、 仕向け先の7割を占め る日本市場で輸入の減少、 輸入牛肉在庫水準の低下により、 需給が引き締まって きたため、 先行き輸出ポジションが好転するのではとの期待が高まっていること が挙げられる。 また、 ALFAは、 飼養頭数の回復傾向を支える要素として、 これま での、 ほぼ日本市場向けを主眼においたロット経営者の戦略が、 日本と国内市場 の双方でのマーケティングを念頭に置いたものに変化してきている事情を挙げて いる。 国内市場では、 グレインフェッド牛肉の需要が明らかに増大しており、 最 近では国内向けのシェアは3割を維持している。 このため、 ALFAは、 この飼養頭 数の増加傾向が今後も継続するものとみている。
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