◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) によると、 76年から95年の20年間の生乳の加工仕向け割合は、 生乳生産量の55%〜62%で推移しているが、 95年にも60%が加工向けに仕向けら れた。 近年では、 加工仕向け率は6割前後で安定しているものの、 生乳生産量が 全体として伸びていることから、 加工仕向け量も年々増加している。 次に加工仕向けの内訳をみると、 最近では、 バターや脱脂粉乳の生産よりも、 ピザなど業務用の需要の増加により価格が堅調な、 チーズの生産に仕向けられる 割合が増加する傾向がみられる。
96年のチーズ生産量 (カッテージチーズを除く) は、 325万トンで、 前年の312 万2千トンと比べ4.1%増加した。 これを半期毎にみると、 上半期は前年同期を5. 9%増加したが、 下半期はペースダウン傾向がみられ、 前年同期2.5%増加となっ ている。 特に、 11月からは、 ペースダウンが著しくなった。 この要因についてみ ると、 上半期は、 生乳生産量が前年を下回り、 その後の生乳の供給の見通しが不 透明であったことから、 需要増の追い風に乗るチーズ製造業者が、 生産を前倒し 気味に増加させたことにより生産が増加したものである。 一方、 下半期に増産ペ ースが落ちた要因は、 10月以降、 生乳生産量が回復基調に転じたことで先急ぎ的 な生産がなくなったことや、 製品在庫の積み増しで荷余り感を生じ、 価格が急激 に下落したことが影響したものである。 主な種類別の生産量は、 最も生産量が多く、 全生産量 (カッテージチーズを除 く) の約4割を超えるアメリカンチェダーチーズが前年比5.2%増の149万3千ト ン、 ファスト・フードや宅配ピザで需要が増加し、 全生産量 (同) の約3割を占 めるモツァレラチーズが前年比6.6%増の101万3千トンとなった。 チーズの指標価格となるチェダーチーズの卸売価格 (ウィスコンシン地区、 40 ポンドブロックのF.O.B.価格) は、 9月に過去最高価格 (1ポンド当り1ドル74 セント) を記録したものの、 10月以降は荷余り感から急落し、 12月には、 逆に前 年同月を12.9%下回った。
96年のバターの生産量は、 52万9千トンで、 前年の57万2千トンと比べ7.6% 減少した。 バターの生産量は、 生乳生産量の減少幅以上に減少したが、 これは加 工向け生乳が主としてチーズ生産に向けられたためである。 ただし、 上半期は、 前年同期より12.6%減少したものの、 下半期に入ると、 チーズの生産が減速した ことから、 9月以降は前年同月を慨ね上回った。 バターの卸売価格 (シカゴ地区、 グレードA) は、 生産量の大幅減少を反映し て9月に過去最高 (1ポンド当り1ドル46セント) を記録したが、 その後、 生産 量が回復したことから、 11月以降は96年始めの価格水準へ低下した。
96年の脱脂粉乳の生産量は、 47万9千トンで、 前年の56万トンと比べ14.4%減 少した。 脱脂粉乳の生産は、 バターと同様に、 生乳生産の減少を反映して減少し た。 上半期は全ての月で前月を下回り、 前年同期で14.2%減少したが、 下半期に 入ると、 チーズの減産の影響により、 11月以降前年同月を慨ね上回った。 脱脂粉乳の卸売価格 (西部地区のF.O.B.価格) は、 生産の減少を反映して、 96 年を通じて前年同月を上回って推移した。
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