米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○フィードロットおよび肉牛価格の動向



● 飼養頭数は増加傾向で推移


 97年5月1日時点の全米のフィードロット (収容能力、 千頭以上の規模) の飼
養頭数は、 前年同期比8.2%増の993万頭となった。 このうち、 主要7州 (アリゾ
ナ、 カリフォルニア、 コロラド、 アイオワ、 ネブラスカ、 テキサス州) では、 前
年同期比9.4%増の848万頭となっている。 

 また、 その97年4月の導入頭数は129万頭と、 前年同月を12%上回った。 

 フィードロットの飼養頭数は、 96年前半には、 飼料価格の高騰と牛肉生産の増
加による肥育牛価格の低下により、 収益性が悪化し、 肥育素牛の導入が減少した
ため、 大幅に減少した。 その後、 96年後半からは、 秋収穫穀物が豊作となり飼料
価格が低下したことで、 収益が改善し、 フィードロットへの導入頭数が増加した。 
その結果、 96年11月からは、 フィードロットの飼養頭数は、 前年を上回って推移
している。 

● 肥育素牛の価格、 堅調に推移


 一方、 97年5月 (速報値) の肥育素牛価格 (600〜650ポンド去勢牛、 オクラホ
マシティーの市場価格) は、 83.75ドル/100ポンドとなり、 4月に続いて80ドル
台を記録した。 この体重クラスの肥育素牛価格が80ドル台を記録したのは、 94年
8月以来のことであり、 前年同月と比べて約30ドル/100ポンドも上昇したこと
になる。 肥育素牛価格は、 飼料価格が上昇し始めた95年後半に70ドル台から60ド
ル台に低下し、 96年前半には50ドル台まで低下した。 しかし、 その後、 飼料価格
の低下にともなって、 フィードロットへの導入頭数が前年を上回るまでに回復し
たことから価格は上昇傾向となり、 97年1月には70ドル台に回復し、 その後も堅
調に推移していた。 

 

● 肥育牛価格も堅調に推移


 肥育牛価格 (ネブラスカの相対取引価格、 1,100−1,300ポンド) は、 フィード
ロットからの出荷頭数の減少により、 96年7月から前年同月を上回って推移して
いるが、 97年5月には、 前年同月を14.2%上回り、 68.2ドル/100ポンドとな
った。 

 米農務省は、 肥育牛価格が、 秋口までには70ドルを超え、 98年には70ドル前半
で推移するものと見込んでいる。 

● フィードロットの収益は、 今後低下か


 主要なフィードロットが集中するグレート・プレインズでのフィードロットの
収益を見ると、 96年2月から5月にかけては、 飼料価格の高騰により肥育牛価格
が損益分岐点を下回って推移したために、 利益はマイナスとなった。 しかしなが
ら、 その後は、 秋までは飼料価格は高かったものの、 肥育素牛価格の下落と肥育
牛価格の上昇が並行して起こったことから、 利益はプラスに転じた。 

 今後の見通しとしては、 昨今の肥育素牛価格の高騰が、 今後損益分岐点を押し
上げることになるため、 利益幅が縮小することが見込まれる。 

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