◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) は、 5月12日、 来年度 (97/98年度:97年9月〜98年8月) の飼料穀物需給に関する初めての予測を公表した。 これによると、 来年度の米国 の飼料穀物生産量は、 豊作となった今年度をさらに4%上回り、 約278百万トン になるとされている。 特に、 全体の約9割を占めるトウモロコシの生産量は、 本 年度を約13百万トン (5.9%) も上回り、 約250百万トンに達するとされている。 この予測が実現すると、 過去最高の94/95年度の約256百万トンに迫る、 記録的 な高水準となる。 米国の飼料穀物需給予測 資料:USDA World Market and Trade
USDAが増産の生産予測を公表した背景には、 飼料穀物の主産地が天候に恵まれ、 今秋の収穫に向けた作付けが順調に進みつつあることが挙げられる。 USDAは、 5 月11日の時点において、 主要生産州の耕作予定面積の71%で作付けが完了したと 報告している。 昨年同時点の作付完了面積が50%であったことと比較すると、 作 付けが極めて順調に進みつつあることが伺える。 作付けは、 特に、 昨年同時期に 長雨に見舞われた東部コーンベルト諸州において、 顕著な進展を見せている。 ま た、 作付けが早まることで早霜等の被害が回避されるため、 単収も向上すると予 測されており、 このことも生産増の予測に影響を及ぼしている。
一方、 飼料穀物の需要面については、 価格の低下に伴って、 飼料向けを中心と する国内消費量が増加し (前年度比3.3%増)、 更に、 アジア向けを中心とする輸 出量も回復すると予測されている (同10.4%増)。 しかし、 97/98年度には、 生 産量の増加が、 これらの需要の増加を上回ることから、 需給は基本的に緩和に向 うと見られている。 このため、 同年度末 (98年8月末) の在庫量は、 飼料穀物全 体で39.5百万トン (前年度比43.2%増)、 トウモロコシで34.3百万トン (同48.4 %増) と大幅に回復すると予測されている。 また、 96年農業法により作付けの自 由化と生産者への直接所得補償の支払いが決定されたことも、 飼料穀物の生産動 向に影響を及ぼすと見られている。 エルニーニョ現象の気象への影響がとりざたされる中で、 天候に左右される穀 物生産の 「宿命」 から、 確実とは言い難いものの、 現在までの情報を総合すれば、 当面、 需給は緩和基調で推移すると予測されている。
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