（注）カッコ内は前年比
資料：ＺＭＰ他
◇絵でみる需給動向◇
EUで主要な乳製品貿易国であるフランスの96年の乳製品輸出金額は､ 前年比2. 7％減の240億フラン (約４千９百億円) となった｡ 輸出金額が減少した要因とし ては､ 95年において高騰したバターの国際価格が96年に16％､ また､ 脱脂粉乳も 12％低下するなど､ 全般的に国際需給が緩和して価格が低迷したことが挙げられ る｡ 一方､ 輸入金額をみると､ 前年比7.6％減の106億フラン (約２千２百億円) と なった｡ 輸入相手先は､ ドイツ､ ベルギー､ オランダなどが主体となっており､ 域内からの輸入が９割以上を占めている｡ このような輸出入状況から､ 乳製品の貿易収支は134億フラン (約２千７百億 円) の黒字となったが､ その黒字幅も､ 92年の113億フラン (約２千３百億円)か ら､ ここ４年間で約２割も拡大した｡ また､ 国別の貿易バランスをみても､ バタ ーの輸入が多いアイルランドを除く全ての貿易相手国に対し､ 輸出金額が輸入金 額を上回っており､ このことから､ フランスは､ 主要な乳製品の輸出国として､ 世界的にも重要な地位を占めているということができる｡
次に､ 品目別の輸出量をみると､ 第一位がチーズ (45万７千トン) で､ 以下､ ホエーパウダー (30万２千トン)､ 全粉乳 (19万２千トン) と続いているが､ 前 年比で変動が大きかったものは､ プラスでは脱脂粉乳の7.8％､ ホエーパウダー の6.5％､ また､ マイナスでは全粉乳の13.7％､ バターの3.3％であった｡ また､ 最も重要な輸出品であるチーズについてみると､ 輸出量は､ 前年に比べ て3.6％増加しているが､ これを輸出先別にみると､ 域内向けが圧倒的に多く､36 万３千トン (対前年比2.8％増) と､ 全体の４分の３以上を占めている｡最大の輸 出相手国は､ ドイツで13万トン (同2.7％増)､ 次いで､ ベルギーおよびルクセン ブルグの５万９千トン (前年同)､ イタリアの５万６千トン (同2.1％減) となっ ている｡ なお､ 域内輸出全体に占める上位３国・地域 (ベルギー／ルクセンブル グを一地域とみなす) のシェアは７割弱となっている｡ 一方､ 域外向けは､ 最大のサウジアラビアが１万４千トン (同11.7％減) で､ 次いで､ スイスが１万１千トン (同3.0％増)､ 米国が９千トン (同8.3％増) と なっている｡ サウジアラビアが大幅に減少したものの､ そのシェアは13％と小さ いことから影響は少なく､ 域外向け輸出全体では6.5％増の11万２千トンと高い 伸びを示した｡ ちなみに､ EUは､ ウルグアイ・ラウンド (UR) 合意に従って､ 96 年にチーズ輸出補助金の削減を漸次実施してきたが､ 世界的にチーズ需要が好調 であったことに加え､ 米ドル高など為替要因も相まって､ チーズの域外輸出は大 きなダメージを受けることがなかった｡
一方､ 品目別の輸入量をみると､ 第一位が輸出同様､ チーズ (15万２千トン) で､ 以下バター (11万４千トン)､ 脱脂粉乳 (３万４千トン) と続いている｡ 前 年比で変動が大きかったものは､ プラスでは全粉乳が48.3％､ また､ マイナスで は脱脂粉乳の24.8％､ バターの20.2％､ ホエーパウダーの14.1％であった｡ また､ チーズの輸入量は､ 前年に比べて7.3％増と､ 輸出の伸び率 (3.6％) を 上回る高い伸びとなった｡ 輸入先は､ 域内が９割以上を占めており､ オランダが ５万トン (対前年比5.0％減) と最も多く､ 次いで､ ドイツが３万８千トン(同22. 3％増)､ イタリアが２万２千トン (同18.8％増) であった｡ なお､ 域外について は､ スイスから９千トン (同13.5％増) を輸入している｡ チーズ ｢王国｣ フランスで､ チーズ輸入が高い伸び率を示した要因としては､ プロセスチーズなどの需要増を背景に､ 不足する原料用ナチュラルチーズを輸入 で手当てしたことによるものとみられる｡ フランスは､ ブランド価値の高いテー ブル用のナチュラルチーズの生産が圧倒的に多く(全体の約３分の２)､ 輸出にお いても高い国際競争力を有している｡ これに対して､ 輸出を含めて需要が伸びて いるプロセスチーズなどの原料手当てとしては､ これらの主要生産国であるオラ ンダ､ ドイツなどから輸入して対応する方向に動いたものと考えられる｡ フランスの乳製品輸出入量（96年）
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