台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○口蹄疫、 沈静化へ



● 沈静化傾向が顕著に


 台湾のほぼ全土に及んだ口蹄疫の被害が沈静化へ向かっている。 口蹄疫は既発
生地域内において、 僅かに新たな発生がみられる程度となっており、 病気の流行
は明らかに終息に向かっている。 政府が講じているワクチン接種や発生農場にお
ける全頭と畜といった、 防疫・撲滅対策の効果が、 確実に現れてきたものとみら
れる。 

 口蹄疫は、 6月4日現在で、 台北市、 基隆市および離島の澎湖県を除く全国の
6,143農場で発生が確認され、 感染が認められた豚総数は101万頭、 また、 と畜処
分された豚総数は385万頭に達しているが、 5月以降は新たな発生県・市は確認
されていない。 これを、 ほぼ1ヶ月前の5月6日時点と比較すると、 発生農場数
で322、 感染豚で12万頭、 と畜処分頭数で36万頭の増加にとどまっており、 口蹄
疫発生直後に見られた、 急速な拡大は概ね沈静化した状況となっている。 さらに、 
最近では数日間に渡って発生がない地区も多くみられる。 

 しかしながら、 と畜処分は発生農場の全ての飼養豚群が対象になっていること
から、 最終的には台湾全土で400〜450万頭の豚が失われるとみられている。 現地
報道によれば、 農業委員会 (農業省に相当) は輸出を考慮に入れなければ、 台湾
の適正養豚規模を600〜650万頭と試算しているとしており、 現状のと畜処分が続
けば、 最終的には台湾の養豚規模はこの程度の水準に落ち着くものとみられる。 

口蹄疫の発生状況


● 肉豚価格は高水準を維持


 肉豚卸売価格 (生体100kg当たり) は、 口蹄疫発生直後、 ほぼ全ての市場で千
元台の水準にまで暴落したが、 その後は一貫して上昇傾向を示し、 5月下旬の時
点では殆どの市場で、 概ね旧正月直前の1月下旬の水準である5千元台で推移し
ている。 

 このように、 豚価が急速に回復した主な要因は、 口蹄疫発生前に1日当たり2
万5千〜3万頭であった出荷量が、 最低の場合で1万3千頭程度に落ち込んだこ
とや、 政府が緊急特別予算を組んで、 食肉業者に対し、 肉豚卸売市場で豚を手当
てするよう奨励したことによる。 なお、 この場合、 100kg当たり2,600元以上の肉
豚を購入する際には政府が2,000元を年利3%の低利で融資することになってい
る。 また一方で、 政府は肉類の衛生管理を強化するとともに、 報道機関を通して
豚肉に対する消費者の信頼の回復にも努めた。 これらの措置が功を奏したため、 
肉豚価格は発生から1ヶ月余りで、 急速に回復していったものと思われる。 


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