牛肉の食味保証のガイドライン案を公表 (豪州)



● 消費低迷打破のためEQA計画を発表


 豪州産牛肉は、 放牧主体の生産形態のため品質が不安定とされ、 そのために消 費者の信頼を損なうケースもあることから、 消費低迷につながっていると指摘さ れてきた。 こうした中で食肉業界は、 昨年末、 こうした状況を改善すべく、 消費 者に牛肉の 「おいしさ」 を保証することを目的とした食味保証制度 (EQA)計画を 発表した。 それ以来、 業界、 研究機関、 大手スーパーなどの専門家、 有識者で構 成された推進委員会により、 客観的な保証手段としての格付け基準が検討されて きたが、 このほど、 そのガイドライン案が公表された。

● 格付けグレードは3段階


 その案によれば、 「3つ星」 を基準とし、 より 「おいしい」 牛肉には、「4つ星」、 「5つ星」 という表記を行うこととしているが、 各星印を得るための肉質等の基 準の概要は以下のようになっている。 年齢等:最高30か月齢。 と畜時最低生体重は、 200kg (9か月齢) 〜580kg (30か     月齢) 品 種:今後、 品種及び血液割合の基準を消費者テストを通じて決定する。 ただ     し、 これまでの調査研究では、 熱帯品種 (ブラーマン等) と英国品種     (アンガス等) の割合について、 概ね次のとおりとされている。  ・熱帯品種の割合が25%以下で英国品種の割合が50%以上の牛は、 ほぼ確実に   許容範囲内。  ・熱帯品種:英国品種=3/8:5/8の牛は、 おおむね許容範囲内。  なお、 「5つ星」 は熱帯品種の血液を含まない牛とされている。 出 荷:生産者からパッカーへの直接出荷を推奨。 市場経由については今後調査 枝 肉:pH5.3−5.8 「3つ星」 「4つ星」 「5つ星」 化学的脂肪含有量 (最低)            3% 4.5% 6%     肉の柔らかさ (オズミートによる5段階評価)            3   4    5  熟 成:真空包装、 0−4℃で、            14日  21日  21日

● 品種・取引方法規定に注目


 この中では、 品種、 取引方法の規定が注目される。 特に、 品種規定は、 熱帯品 種の血液をかなり厳しく制限する方向が示唆されているが、 豪州の牛肉生産の中 心であるクインズランド州は、 気候的に一定水準の熱帯品種の血統を必要とする 地域も多く、 これらの地域の生産者からは 「差別」 に対する反発も予想される。  推進委員会は、 この点に関しては、 最終的には消費者テストを通じて、 消費者 が決めることとしている。 EQAは自主的制度ではあるが、 今回の案で示された品 種の他にも、 取引方法や熟成の基準など、 生産サイドから小売サイドまでの連携 がなければ達成し得ない項目もあり、 今後、 ガイドラインの最終的な詰めの段階 では、 制度の普及と実効性の確保のため、 ある程度の妥協点が探られていくこと になろう。  EQA計画は、 このガイドライン案をさらに検討・修正の上、 今年9月にブリス ベンで試行した後、 10月に全国展開する予定となっている。
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