96年の食肉の生産、ハイペースの生産増を継続 (中国)




● 総生産量、 前年比二ケタ増を維持



 国家統計局が先ごろ公表した、 「1996年国民経済と社会発展に関する統計公報」 
によれば、 同年の食肉の総生産量は5,800万トンで、 前年比10.3%増となった。こ
の総生産量は、 今年1月の中央農村工作会議で速報値として既に示されていたが、 
今回の公表により、 公式に確認されたことになる。 

 なお、 その結果、 過去6年間で最低の伸び率ではあるものの、 総生産量は、 6
年連続で二ケタ台の増加率を記録したことになる。 また、 そのうち、 豚肉、 牛肉、 
羊肉のレッドミートについては、 4,760万トン (総生産量の82%)で前年比11.6%
増となり、 近年では初めて、 総生産量の伸び率を上回った。 

 なお、 以前からの統計区分により推定すると、 残りの18%は家きん肉と兎肉と
考えられるが、 兎肉生産量はごくわずかであることから、 そのほとんどは家きん
肉とみられる。 

 したがって、 近年、 需要増と輸出拡大に支えられて急増を続けた家きん肉は、 
伸び率は低下したものの、 ついに、 1,000万トンの大台を超えたものと推定され
る。 

〈近年の食肉生産量の推移〉

 (注)資料:96年以外は中国統計年鑑(万トン以下は四捨五入)

● 7割を占める豚肉の市況は回復軌道に



 国家の長期経済計画では、 今世紀末の食肉生産目標を5,200万トンとしていた
が、 この目標は、 既に95年に4年も早く達成されている。 こうしたハイペースの
生産増は、 飼料穀物の消費を急増させ穀物需給の逼迫をもたらす一方で、 全体の
7割を占める最も重要な豚肉の価格下落、 そしてその後も市況低迷をもたらすな
どの歪みを生み出した。 

 しかしながら、 その後、 政府の需給調整策など市況対策の奏功もあって、 昨今
では、 その価格動向は、 主産地、 消費地ともに、 明らかな回復傾向を示している。 

 こうした、 底固い市況回復が、 その後も続いたハイペースの食肉増産傾向の中
で、 実現したことは、 国内需要もまた、 豚肉の増産を 「支える」 に十分なペース
で伸びていることを示唆するものである。 

〈豚冷凍枝肉の価格動向〉

 (注)各旬の特定日のサンプル価格

● 反発があまりみられない牛肉市況



 次に、 食肉生産全体の8%弱 (レッドミートの10%弱) を占める牛肉の市況に
ついてみると、 豚肉市況にみられるような反発傾向はみられない。 牛肉価格の低
落傾向は、 豚肉よりは遅れて現れ、 かつ、 低落率もそれほど大きくはなかったが、 
最近の市況動向をみても、 依然として 「底這い」 傾向が続いているようにみえる。 

 牛肉市況が明確な回復傾向を示さないのは、 牛肉は、 食肉主要4品目の中では
群を抜いて増加率が高かった(95年以前の5年間で2.7倍 (総食肉生産量は1.8倍)) 
ことから、 依然として需要が十分に追いついていないことが主な原因と考えられ
る。 

 また、 量的には不明であるが、 近年の需要増を支える外食産業向けを中心に、 
輸入が増えているとされるが、 このことも原因の一つと考えられる。 

 なお、 牛肉産業は、 その発展過程を通じて、 伝統的な役牛を主体とする自然発
生的生産基盤から、 最近では、 商業的な生産様式が出現しつつある。 このことか
ら、 現在の市況は必ずしも悲観的でなく、 その価格水準でも再生産を確保しうる
余地が、 次第に拡大しつつあるものと考えられる。 

〈牛肉の価格動向〉

 (注)品目/規格 不明

● 97年第1四半期は増勢が軟化



 食肉生産は、 97年に入ってからも増勢が続いているが、 国家統計局によれば、 
第1四半期の総生産量は、 前年同期を5.5%上回ったとされている。これに対して、 
去る3月の全国人民代表大会で決定された97年の生産目標は、6,200万トンであり、 
これは前年比では6.9%増に相当する。 したがって、 第1四半期の実績は、 目標
の達成にはやや低調であったということができる。 

 しかしながら、 また一方では、 インフレ率が政府の目標以上に低下 (4月の小
売物価上昇率は前年比+1.1%:通年の国家目標は6%前後) し、 経済成長の安
定化傾向が顕著である。 したがって、 そうした経済情勢下では、 増産が行き過ぎ
ないことが、 食肉市況を支える点で有効であると考えられる。 


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