反すう動物への動物性たんぱく源使用規制を強化 (米国)



● FDA、 最終規則を発表


 米保健福祉省食品医薬品局 (FDA) は、 6月5日、 反すう動物用飼料の動物性 たんぱく源の規制について、 これまでに提案していた規制内容を強化し、 豚およ び馬を除くほ乳類の組織由来のたんぱく質の使用を禁止する最終規則を発表した。

● BSE防疫体制強化のための規制拡大


 FDAは、 96年3月に、 英国政府が牛海綿状脳症 (BSE) と人間の同種の脳症であ るクロイツフェルトヤコブ病 (CJD) との関係を示唆して以来、 食用に供される 動物の検疫体制を強化してきた。  その一環として、 97年1月には、 FDAはBSEのリスクを最小限に抑えるための家 畜衛生規則の提案を行った。 今回の最終規則は、 そのうち飼料原料面での防疫措 置の強化に重点を置くものとなっている。  FDAが1月に提案した案では、 反すう動物用飼料として使用してならないもの は、 反すう動物である牛、 羊およびミンクの組織であるとされていた。 しかしな がら、 最終規則では、 FDAは、 その規制対象範囲を、 豚および馬を除くほ乳類の 組織由来の動物性たんぱく質に拡大した。

● ほ乳類組織由来のたんぱく質の多くが利用不可になる可能性


 規制内容をみると、 豚および馬を除くほ乳類の組織由来の動物性たんぱく質が 規制の対象となっているが、 以下のものはこの規制対象から除かれることになる。 (1)血液 (2)血液製品 (3)ゼラチン (4)検査済みで食用に調理し供された加工肉製品 (食品残し等) (5)乳製品 (6)豚および馬由来のたんぱく質のみを含む製品  しかし、 今回の最終規則により、 豚および馬を除くほ乳類の組織由来のたんぱ く質のうち、 (1)から(6)以外のものが混入していれば、 その飼料は、 反すう動物 用としては使用することができなくなる。 これは、 あるたんぱく質が、 豚および 馬由来のものであるのか否かを即座に判定できる方法がないことから、 現実的に は、 すべてのほ乳類の組織由来のたんぱく質が、 ほとんど利用できなくなる可能 性があることを意味している。

● 飼料製造業者には管理システムの確立を要求


 また、 FDAは、 飼料製造業者等に対し、 規制強化によってBSEが動物の組織を通 じて広がるのを防止することに加え、 禁止された組織が反すう動物用の飼料に混 入しないことを保証するための、 加工処理および管理システムを確立することを 要求している。  なお、 今回の最終規則は、 8月4日から施行される予定となっている。
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