USDA、 EQIPの最終規則を発表 (米国)



● 環境保全・教育の推進を図るEQIP


 米農務省 (USDA)は、 5月20日、 96年農業法で新設された環境改善奨励計画(EQ IP) の最終規則を発表した。 EQIPは、 農業生産に伴う環境問題を解決するため、 参加農家に対し、 技術支援、 知識教育支援、 また、 それらの経費に対する財政的 支援を行う事業で、 従前の農業保全計画、 農業水質改善計画、 コロラド川流域塩 害管理計画およびグレートプレーンズ保全計画を統合したものである。

● 2002年まで毎年2億ドルの予算


 EQIPの予算は、 2002会計年度まで、 毎年2億ドル(約230億円)となっており、そ の予算の2分の1を畜産環境保全に使用することが定められている。 97年度予算 については、 今年3月に、 暫定的に約1億7千万ドルの予算が全州に配分され、 全体額の65%以上を河川流域等の事業実施優先地域に、 また、 残りを他の環境保 全地域に仕向けることとなっている。

● 事業実施は、 NRCSとFAS


 EQIPは、 USDAの天然資源保全局 (NRCS) が主管し、 農家サービス庁 (FSA)の協 力を得て実施される。優先地域の決定に当たっては、 NRCSやFSAの職員等から成る 地域ワーキンググループが優先保全地域を選定し、 これを州技術審査委員会から 推薦されたNRCS州保護官に提出して、 決定が行われることになる。

● 事業参加には、 USDAとの契約が必要


 EQIPの事業に参加するためには、 生産者は、 USDAと5年から10年の環境保全に 関する契約を締結することが必要で、 それによって、 環境改善に関する技術的な アドバイス等を受けることができる。 また、 耕種農家および畜産農家 (大規模を 除く) は、 緩衝草地帯の造成やふん尿処理施設の建設経費の一部補助 (75%を上 限) を受けることが可能となる。

●補助金受給総額の上限は5万ドル


 これに加えて、 農家が土壌改良、 ふん尿施肥やかんがい用水の管理等の環境保 全に配慮した農地管理を実施した場合、 3年を限度として、 奨励金を受給するこ とができることとなっている。 なお、 生産者が受給できる補助金の総額は、 年間 1万ドル、 年度を超える計画にあっては、 5万ドルが上限となっている。

● 経費補助が受けられる畜産農家の規模を規定


 最終規則では、 以前の案では定められていなかったものとして、 ふん尿処理施 設等の経費補助事業に対する経費補助が受けられる畜産農家の規模を、 原則とし て牛飼養頭数で1千頭以下、 豚飼養頭数で2千5百頭以下とする規定が盛り込ま れた。 ただし、 地域ごとに環境条件が異なることから、 州の技術審査委員会の審 査を経てNRCSの承認が得られた場合には、 この限りでないとの例外規定も設けら れている。

● 例外規定が設けられたことを生産者団体は評価


 以上の飼養規模による制限規定に対しては、 大規模畜産農家を事業対象から除 外することについては、 全米肉牛生産者・牛肉協会 (NCBA) や全国肉豚生産者協 議会 (NPPC) が、 事業の効果的実施の観点から反対し、 すべての畜産農家を対象 とするよう要望していた。 しかし、 今回の規則に関しては、 参加農家に飼養規模 の制限が定められたものの、 例外規定が設けられたことから、 両生産者団体とも、 一応の評価を行っている。
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