◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉畜産公社 (AMLC) がこのほど明らかにしたところによると、 97年の牛 肉輸出量は、 前年比で6.8%増加して72万8千トンとなる見通しである。 95年から96年にかけての過去2年間、 豪州の牛肉輸出は、 その8割弱を占める 日・米2大市場において、 わが国では米国産牛肉との競争の激化や病原性大腸菌 問題による消費低迷、 また、 米国では生産増による供給過剰傾向などにより、 不 振な状態が続いた。 その結果、 総輸出量は、 2年連続して前年を割り込む結果と なった。 そうした中で、 今回のAMLCの予測値は、 牛肉輸出がようやく低迷期を脱し、 回 復基調に乗る兆しが現れたものと受け止められている。
AMLCは、 97年のわが国の牛肉消費は、 昨年の病原性大腸菌問題に伴う停滞から 回復する傾向にあることなどから、 適度な増加を示すと見ており、 これに伴い、 対日輸出量は、 前年比で6.8%増加して30万トンになると予測している。 また、 米国への輸出は、 米国内での老廃牛と畜の減少に伴う加工用牛肉の減産 により価格の上昇が見込まれることから、 前年比6.7%増加の 19万トンと予測さ れている。 なお、 現在では、 この間の米国向け加工用牛肉の減少分を埋め合わせ る形で、 東南アジア向けの生体牛輸出が増加している。
また、 2大市場に次ぐ輸出市場についても、 97年の輸出は着実に伸びると予測 されている。 2001年にウルグアイ・ラウンド合意に基づく牛肉の輸入自由化を控え、 年々輸 入枠を増加させている韓国への輸出は、 前年比10.3%増の6万4千トン、 また、 台湾向けは豚の口蹄疫発生による牛肉消費の増加分を折り込む以前でも、 前年比 8.3%増の2万6千トンと予測されている。 また、 現在では少ないものの、 近年、 牛肉消費の伸びが著しい中国への輸出も増加することが予想される。 最後に、 フィリピンやインドネシアをはじめとする東南アジア地域への輸出に ついても、 経済成長を追い風とした牛肉消費の増加により、 近年はほぼ一貫して 増加基調で推移していることから、 この傾向は97年も引き続き維持されると予想 している。 なお、 同地域へ輸出される牛肉について形態別の用途を見ると、 冷蔵 品がフードサービス部門や小売り部門で流通するのに対して、 冷凍品はハンバー ガー・パティやミートボールなどの材料として、 主に加工部門で利用されている。
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