◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) によると、 ブロイラー輸出は、 貿易障壁がもとで昨年末にか けて低迷していたが、 その後は回復に向かい、 97年1月の輸出量 (可食重量ベー ス、 骨付き、 以下同じ) は、 前年同月に比べて13.1%増加の15万9千トンとなり、 再び大幅な伸びを示している。 これは、 関税の引き上げをめぐる問題で、 ロシア 側が一時的に通関手続きを遅らせたために、 停滞していたロシア向け輸出が、 前 年同月比41.6%の大幅な増加となったことが大きく影響している。
USDAが、 別途公表した輸出見通しでは、 97年上半期の輸出量は、 前年同期に比 べて1.3%増加するとされており、 下半期については14.7%増加となり、97年の通 年では、 前年に比べて8%増加の約217万トンになると予測されている。 USDAは、 こうした増加を予測した根拠として、 1)中国で経済発展に伴う鶏肉消 費が増加し、 米国産への需要が高まると見込まれること、 2)ロシア向け輸出が引 き続き増加すると見込まれること、 3)日本については、 台湾からの豚肉の輸入禁 止により、 今後、 豚肉の代替品としての需要の増加が期待できることなどを挙げ ている。 特に、 ロシア、 中国 (香港経由を含む) は、 両国併せて輸出全体の約6割を占 めていることから、 この2国が輸出動向の大きな鍵になるとみられている。
一方、 かねてから米国・EU間で協議されてきた食鳥検査制度に関する交渉が、 4月30日の最終期限までに双方合意に至らず、 結局決裂したことから、 両国間は、 相互に輸入禁止措置を発動することになった。 当該交渉において、 最後まで問題とされていた点は食鳥の衛生検査基準に関す ることであった。 この点について、 EU側は、 米国が実施していると体の消毒に塩 素を使用する浄化法は、 人体に悪影響を及ぼす疑いがあり、 これを変更するべき であると主張していた。 しかし、 米国側は、 EU側の主張には科学的な根拠がなく、 検査水準を低下させるものであると反論し、 主張は平行線をたどった。 EUの輸入禁止により、 米国の家きん肉業界は、 年間約5千万ドル(約63億円)の 損失を被ることになるとされているが、 2国間の交渉は、 今後も合意に向けて継 続されることが予定されている。
元のページに戻る