◇絵でみる需給動向◇
米国シカゴ商品取引所 (CBoT) の大豆先物取引価格が、 このところ大幅に上昇 している。 同取引所では、 96/97年度末 (97年8月末) にかけての需給ひっ迫の 見通しを背景に、 買いの注文が殺到し、 5月初めには、 一時、 1ブッシェル当た り9ドルを超える高値を記録した (左頁表参照)。 ちなみに、大豆価格が9ドル/ ブッシェルを超えたのは、 88年8月以来、 8年半ぶりのことである。
表:世界及び米国の大豆需給
(注)96/97年度は予測値
今回の大豆価格高騰は、 米国の在庫水準が20年ぶりの低水準になるとの見通し が背景となっている。 米農務省 (USDA) が先月発表した需給見通しによると、 米 国の96/97年度末の大豆在庫量は、 前月よりさらに0.6ポイント下方修正され、 1 25百万ブッシェル (約337万トン) に減少するとされた。 これにより、 在庫率(総 在庫量/総需要量×100) も約5.1%に低下することとなる。 これは、 在庫率のに 適正水準とされる15〜20%に比べると3分の1以下の水準である。
一方、 大豆の国際需給について見ると、96/97年度には世界の生産量が134百万 トンと前年度比7.2%増加するものの、 需要の増加により、年度末在庫は15.9百万 トンと前年度より8.3%減少することが見込まれている。 こうした状況下で、 近年、 国際需給の焦点となっている中国では、 大豆が2年 連続の不作となる中で飼料向けの需要が急増し、 需給が逼迫したため、 今年すで に100万トンを超える輸入に動いたと言われている。 中国は、国内需給が不安定な ため、 大豆に限らずスポット的な大量輸入を行うことが多いが、 その場合は需要 規模が巨大であるだけに国際需給に及ぼす影響も大きい。 このため、 当面、 同国 の動向が国際需給のカギになると見られている。
このように、 米国及び世界の大豆在庫水準の低下が見込まれる中にあって、 5 月中旬から開始される米国の大豆作付動向に関心が集まっている。 今後、 主産地 における天候状況次第によっては、 大豆相場がさらに不安定化することも考えら れることから、 当面は、 その動向から目を離せない状況が続くと見られている。
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