EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○生乳の生産動向



● 前年同水準となった96年の生乳生産


 ドイツの有力市場調査機関であるドイツ市場価格情報センター (ZMP)によれば、 
96年のEU12カ国 (新規加盟3カ国を除く:以下同じ) の生乳生産量は、 約1億5
千600万トン (乳業メーカーの出荷量ベース:暫定値) となり、 対前年比では100.
5%と、 ほぼ横ばいとなった。 

 なお、 国別では、 スペイン (対前年比107.3%)、 イタリア (同103.7%)で増加
したのに対し、 オランダ (同97.9%)、 フランス (同98.7%) では減少している。 

表1 96年の生乳生産量

 資料:ZMP
  注:暫定値

● 生乳生産クオータを上回る生産量


 EUの生乳生産は、 生乳生産クオータ制度によって規制されているが、 クオータ
量が現在とほぼ変わらない93年からの生産動向をみると、 93、 94年は、 いずれも
1億3百万トン台で、 95、 96年の生産量に比べると低い水準となっている。 これ
は、 93〜94年にかけては、 国際市場でバター、 脱脂粉乳の供給過剰から輸出価格
が低迷して生産意欲が低下したことや、 94年には、 生産のピークである夏に猛暑
となったことなどのマイナス要素が、 その主な原因であった。 なお、 それでも、 
両年とも、 乳脂肪率による生産量の調整 (クオータ消化率は、 乳脂肪率 3.7%を
基準としてカウントされる) 後の数値では、 ほぼクオータ量と同等水準の生産量
となっている。 

 一方これに対して、 96年の 「調整後」 生産量は、 2年連続でクオータ量を約1
%上回る水準 (試算値) になるとみられる。 これは、 その後の乳製品の国際価格
の急上昇により生産意欲が増したことや、 域内でも、 イタリアやスペインなどで、 
最近、 国内需要の伸びによる生乳不足傾向がでてきていることによるものである
と考えられる。 

表2 近年の生乳生産量の推移

 資料:ZMP
  注:96年は暫定値

● イタリアは生乳生産クオータの増加を要求


 そうした中で、 イタリアは、 現在 990万トン (総割当量ベース) の生乳生産ク
オータを1千5百万トンに増枠 (+6%) することをEU委員会に対し正式に要求
している。 なお、 最近のイタリアのクオータ超過率は、 95年度 (クオータ年度:
4〜3月) では4.9%となっている。 

 なお、 96年のイタリアの生乳生産者価格は、 96年も同様の不足傾向にあること
を反映して、 前年と比較して5.6%上昇し、 EU 加盟国の中で最も高い伸び率とな
っている。 

表3 生乳生産クオータの超過率

 資料:EU委員会 

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