◇絵でみる需給動向◇
97年1月から4月までの平均肥育豚価格 (主要5市場の平均価格) は、 前年同 期に比べて9.7%の上昇となった。 同価格は、 季節変動を示しつつも 94年12月以 降、 前年水準を上回って推移してきたが、 96年晩秋以降は、 通常の季節的な反発 傾向がみられなかったため、 その後の価格動向が注目されていた。 同価格は、 97 年に入ってからも低下傾向が続いたが、 4月には、 3月に比べて10.1%上昇して 53.3ドル/100ポンド (約148円/kg) となり、 強い反発傾向を示した。 なお、 こ の価格は、 前年同月と比較しても5.5%高い水準になっている。 平均肥育豚価格が97年に入っても低下した要因の1つとしては、 輸出入の動向 変化が挙げられる。 近年における肥育豚価格の堅調な傾向は、 生産減と需要増に よる国内需給の引き締まりとともに、 輸出の増加と輸入の減少に伴う相乗効果に よって支えられたものであった。 しかしながら、 97年1月には、 状況が一変し、 輸出が急減 (対前年同月比16.1%減) する一方で、 輸入は急増 (対前年同月比18. 4%増) した。 輸出入の全生産量に占めるシェアは、 必ずしも大きくないものの、 その相互作用により価格への影響が増幅されたことから、 価格が低下したと考え られる。 しかし、 その後、 3月下旬には台湾で豚に口蹄疫が発生し、 輸出禁止措置がと られたことから、 日本向けを中心に輸出商談が活発化し、 これが4月の肥育豚価 格反発のきっかけとなったものと考えられる。
米農務省 (USDA) が4月中旬に発表した予測では、 97年のと畜頭数は前年並み の水準にとどまるとしているが、 肥育豚一頭当たりの体重がおよそ450g増加する ため豚肉生産量は、 前年に比べて0.6%増加すると予測している。 一方、 97年の総輸出量については、 台湾の口蹄疫問題により、 日本向けを中心 に大幅に増加するとみており、 前年に比べて43.5%の大幅な増加になるものと予 測している。
USDAは、これらの需給動向予測を踏まえ、 97年の平均肥育豚価格は100ポンド当 たり55ドルから58ドル程度になると予想している。 また時期的には、 日本の豚肉 等に係る関税の緊急措置が6月30日に終了することから、 7月以降に輸出が急増 すると予想されるため、 97年第3四半期の価格は、 60ドル台まで上昇すると見込 んでいる。
元のページに戻る