良質牛肉振興事業に対する補助を決定 (EU)




● 事業総額は1,850万ECU



 EU委員会は、 このほど、 96/97年度の良質牛肉の振興事業に対する補助の決定
を行なった。 この補助制度は、 93年から実施されており、 今年度は、 加盟10カ国
から申請のあった18件の企画のうち、 13件が採用された。 これらの事業総額は1,
850万ECU (約26億円) に上り、 このうち、 EUが、 60%に相当する1,100万ECU (約
16億円) を補助することとなっている。 

 なお、 今年度から新たに、 この事業を補完する目的で、 約2,000万ECU (約28億
円) の予算により、 広告会社などを利用した良質牛肉の振興活動計画も募集する
こととしている。 

●  「良質牛肉」 対象牛の要件



 良質牛肉の対象牛とは、 ホルスタイン種やジャージー種といった特定の品種を
除く牛であること、 また、 衛生的に飼育されていることなどが必要条件となって
いる。 さらに、 以下の4つの条件を満たすことも求められている。 

1 動物愛護規則に基づき、 輸送された牛であること。 

2 雄牛はA規格、 去勢牛はC規格、 また雌牛は48カ月齢以下などの基準に合致す
  ること。 

3 牛肉を販売するに当たっては、 最低7日間は熟成させること。 

4 このほど決定された牛肉の原産地表示制度に基づき、 肉牛の生産から牛肉に
  至るまでの個体識別が可能であること。 

● 多様な媒体とルートを活用した宣伝活動



 この良質牛肉の振興事業の内容は、 加盟国によってさまざまであるが、 1)良質
牛肉への信頼を増進させること、 2)生産者から消費者に至るまでの牛肉の管理を
保証すること、 3)良質牛肉のマーケットシェアを拡大することなどが主要な目的
とされている。 

 これまでの具体的な事業例としては、 イギリス食肉家畜委員会 (MLC) が、毎年
約90万ポンド (約1億8千万円) の予算を投じて、 スーパーや小売店業者等の団
体と共同で、 良質牛肉振興活動を行なったことなどが挙げられる。 また、 アイル
ランドでは、 食品ボード (An Bordbia) が単独で、 食肉小売店や見本市などを通
じて良質牛肉を消費者にアピールしてきた。 

 96/97年度の事業内容は、 これまでの事業メニューを踏襲するほかに、 テレビ、 
ラジオによるコマーシャル、 新聞雑誌による広告宣伝などを通じて、 消費者に対
して良質牛肉のイメージアップを図ることとされている。 

● 消費者の需要回復を期待



 これまで良質牛肉の振興事業については、 該当する牛肉の数量が少なかったこ
とや、 特定の原産地をアピールした宣伝が禁じられていたことに加え、 予算も少
額であったことから、 その事業効果を疑問視する声もあった。 しかしながら、 EU
委員会は、 今年度はこの振興事業に加え、 早ければ7月1日から自主的に実施さ
れる牛肉の原産地表示制度など、 次々と牛肉消費の関連対策を講じているため、 
今後は、 消費者レベルでの需要回復効果が期待されるところとなっている。 

96/97年度良質牛肉振興事業予算


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