土壌保全留保計画の契約申込面積を公表 (米国)



● 新規申し込みが全体の約3割に


 米農務省 (USDA) は、 4月上旬、 土壌保全留保計画 (CRP)の契約 (97年10月 1日から実行開始分) 申し込み状況を発表した。  CRPは、土壌浸食を起こしやすい耕作地や一定の放牧利用限界牧草地を自然草地 や林地に転換し、 土壌浸食の防止、 水質保全や野生動物の保護などを行なうこと に対して補助する事業で、 85年農業法で初めて導入され、 96年農業法においても 事業の継続実施が決定されている。  CRPの契約申込期間は、新規、 継続共に3月3日から28日までであったが、 取り まとめの結果、 契約申込数は約30万2千件に達し、 契約申込農地の合計面積は、 約 2,564万エーカーとなった。 このうち、 今年9月末に既存契約が終了する農地 の継続申し込みは、 約1,808万エーカーであったのに対して、 新規申し込みは約7 56万エーカーとなり、 全体の約3割を占めることとなった。 しかし、 USDAは、 こ れはあくまでも速報値で、 最終的な申込面積は、 さらに1百万から2百万エーカ ー程度増加するとみている。

● 契約申込面積はテキサス州が最大


 今回の契約申し込みを面積の多い州順にみると、 テキサス州が約 340万エーカ ー、 ノースダコタ州が約253万エーカー、 モンタナ州が約227万エーカーとなって おり、 上位3州が全体の約3割を占めた。 以下、 カンサス州の約202万エーカー、 コロラド州の約161万エーカーと続いている。

● 契約対象農地は環境要素のランク付けから決定


 USDAは、 CRPへの参加資格条件を満たす契約可能な農地を、 野生動物保護、水質 保全、 土壌保全、 大気保全及び費用等の要素を用いた環境便益指数によりランク 付けして契約優先順位を定め、 最終的な契約対象者・面積を決定する。 今回の申 し込みに対する審査結果は6月中旬に生産者に通知され、 その後、 正式に契約が 締結されることになっているが、 最終的には、 申し込みを大幅に下回る約1千7 百万エーカーが事業対象農地として承認されると見込まれている。 なお、 契約の 実行開始期日については、 継続契約者は97年10月1日から、 新規契約者について は、 97年10月1日又は98年10月1日のいずれか契約者の選択した日から開始でき ることになっている。

● 米議会、 USDAの実行案とは別の動き


 しかしながら、 4月末に議会下院が、 既存契約分の終了期限を1年間延長する といったUSDAの実行案とは異なる法案が可決したのに対して、 上院はこれに反対 するなど、 議会の CRPへの対応が不透明となっている。 このため、 USDAは、 結果 発表を5月末に繰り上げることで、 USDA案への支持の取り付けに動いており、 今 秋のCRPの契約開始の見通しについては、 まだ曲折がありそうだ。
元のページに戻る