USDA、 洪水災害の救済策を発表 (米国)



● 米国中西部北部地域で洪水の被害


 米国の中西部では、 冬季の記録的な大雪等によって、 カナダとの国境に近いノ ースダコタ州とミネソタ州の州境を流れるレッド川が氾濫し、 大規模な洪水が発 生した。 今回の洪水による被害地域は、 主要な農業地域を含むこれらの2州とサ ウスダコタ州に広がっている。

● 農業関連施設に大きな影響


 通常は、 この地域の農業生産に多大な貢献をしているレッド川であるが、 今回 はその水位が洪水の警戒水位を上回り、 一時はこれを26フィート (約7メートル) も超えて氾濫した。 これにより、 多くの住民が、 長期にわたる停電などで不自由 な生活を余儀なくしいられたのはもちろんのことながら、 農業関連施設の倒壊や 冠水による被害、 また、 洪水による穀物や肥料の流失等もあり、 農業にも大きな 被害をもたらした。

● 2億ドルの追加被害者救済措置を発表


 クリントン大統領とグリックマン農務長官は、 4月22日、 住民の約75%に当た る3万5千人が避難生活をしているノースダコタ州グランドフォークスの被災地 を訪れ、 被害状況を視察した。  そして、 今回の洪水災害への対策として、 2億ドル (約250億円)の追加救済措 置を講じる旨を発表した。 この措置により、 米国中西部北部地域を襲った洪水被 害に対する救済措置の総額は、 4億8千8百万ドル (約 610億円) に上ることと なった。

● USDA、 短期・長期の救済具体策を発表


 これに基づき、 グリックマン農務長官は、 米農務省 (USDA) による具体的な救 済策を発表した。 それによると、 救済策は短期・長期にわたる極めて広範なもの となっている。  短期的な救済策としては、 緊急食料スタンプの発行と援助物資を供給する緊急 食料援助事業を実施することとしている。 これにより、 ノースダコタ州には、 3 万8千ポンド (約17トン) の果物、 野菜、 食肉、 ジュース等の食料援助、 また、 ミネソタ州には、 4万ポンド (約 18トン)、 金額にして4万5千ドル (約6百万 円) の食料援助が行われることとなる。  一方、 長期的な支援策としては、 連邦作物保険の適用や、 被災指定地域の家族 農業経営に対して低利融資を行う緊急農業経営資金融資事業の実施、 さらには連 邦作物保険の適用されない草花や観賞用植物等に対し適用する非保険作物災害支 援事業等の実施を検討するとしている。 また、 その他に住宅ローンや光熱水料等 の公共サービスに係る支援として地域開発災害援助の実施や住宅所有者に対する 食品及び水の安全性確保に関するアドバイス等を行うとしている。  農務長官は、 これら救済策を積極的に活用することにより、 被災地の一刻も早 い復興を望んでいると述べた。
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