豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○生乳および乳製品の生産動向 (96/97年度上半期)



● 上半期の生乳生産は5%増



 豪州酪農庁 (ADC) によると、 96/97年度 (96年7月〜97年6月) の生乳生産
量は、 12月までの6カ月間の累計で、 前年度同期を5%上回る52億5千万リット
ル (暫定値) となった。 

 この間の生乳生産量を地域別にみると、 東部に位置する主要生産州で、 いずれ
も高い伸びを記録している。 特に、 豪州全体の生乳生産量の6割を占めるビクト
リア州で、 多雨などの影響を受けた9月と10月を除き、 各月の生産量が前年同月
を6%から8%上回ったことが、 全体の生産増の大きな要因となった (表1)。 

表1 州別の生乳生産量(96年7月〜12月、暫定値)
●表●
資料:ADC「Monthly Statistics」
 注:( )内は前年同月比(累計は前年度同期比)

 

● 全粉乳の生産量が大幅増



 こうした生乳生産量の増加の中で、 飲用向け需要が前年度同期比1%増とわず
かな伸びにとどまる一方、 加工向けは同6%増の伸びを示した。 

 上半期の乳製品生産量の累計 (暫定値) を品目別にみると、 特に全粉乳の生産
量が、 前年度同期比22%増の8万2千トンと大幅に増加している。 最近の活発な
設備投資による製造能力の拡大と、 比較的良好な国際市況が、 こうした大幅な増
産の要因となっている。 

 一方、 チーズ生産量は、 全粉乳と同様に、 今年度も顕著な伸びが予想されてい
るにもかかわらず、 同5%の減少となった。 この背景には、 輸出量全体の半分を
占める日本向け輸出が、 昨今の豪ドル高・円安傾向や、 日本国内での生産の増加
などにより、 伸び悩みをみせていることがあるとみられる (表2)。 

表2 主要乳製品生産量(96年7月〜12月の累計、暫定値)
●表●
資料:ADC「Monthly Statistics」
 注:( )内は前年度同期比

 

● 天候不順の影響が表面化



 今年に入ってからの動向をみると、 最大の生乳生産州であるビクトリア州で少
雨の状況が続いていることに加え、 同州南西部を中心に、 2月初めから記録的な
猛暑が続いており、 生乳生産が影響を受けている模様である。 

 現地の報道によると、 草地の状態が悪くなっており、 1頭当たり乳量も大きく
減少している。 同地域にある豪州最大手の乳業メーカーの工場では、 1日当たり
の生乳処理量が、 前年度の同じ時期に比べてかなり減少していると伝えられてい
る。 

 豪州農業資源経済局 (ABARE) は、 96/97年度全体の生乳生産量について、 前
回予想の前年度比4%増 (91億リットル) から、 2月始めの時点で同6%増 (92
億リットル) へと上方修正している。 しかしながら、 今後、 鍵を握るビクトリア
州の生産動向によっては、 その実現が難しくなることも考えられる。 


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