米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少が続く養豚飼養農家戸数



● 中小規模農家数の減少が顕著



 米農務省によると、 96年の豚飼養農家戸数は15万7千戸で、 前年比13.4%の減
少となった。 養豚農家戸数は、 長期にわたって減少傾向が続いているが、 中でも
総戸数のおよそ9割を占める飼養頭数1,000頭未満のクラスで、 戸数の減少が顕
著となっている。 

 1,000頭未満のクラスで減少が顕著な要因としては、 飼料価格の高騰による収
益の圧迫や新興の大規模経営との競争の激化、 あるいは後継者問題などにより、 
家族経営を主体とした中小規模農家の経営がますます困難となり、 多くの脱落が
出たことによるものと考えられる。 

● 大部分の州で戸数が減少



 96年の戸数の動向を州別に見ると、 最大の戸数を有するアイオワ州では、 100
頭以上500頭未満の農家の減少が特に著しく、 全体では前年比16.0%減と大幅に
減少した。 次に、 アイオワ州に次ぐ第2位の農家数を有するミネソタ州とオハイ
オ州についても、 それぞれ前年比8.3%減、 同10.6%の減少となっている。 いず
れもコーンベルト地域の州であるが、 同地域では減少率が特に大きくなっている。 
また、 アイオワ州についで飼養頭数が多いノースカロライナ州でも、 全体では前
年比9.1%の減少となったが、 飼養頭数2,000頭以上の大規模農家戸数は、 前年比
9.1%の増加となっており、 大型化が進んでいることをうかがわせている。 

● 中小規模中心のアイオワと大規模中心のノースカロライナ



 経営規模別に見ると、 全米では飼養頭数100頭未満の戸数が全体の61%を占め
ている。 これに対して、 2,000頭以上の戸数はわずか3%であるが、 飼養頭数で
は全体の51%を占めている。 また5,000頭以上の大規模な戸数は0.9%に満たない
が、 飼養頭数では、 21%保有している。 

 主要な生産地別に見ると、 アイオワ州は、 飼養頭数500頭未満の農家戸数が州
全体の64%を占めていることから、 中小規模の農家が中核となっていることがう
かがえる。 これに対して、 ノースカロライナ州では、 州全体の戸数の20%を占め
る2,000頭以上の農家が州全体の飼養頭数の94%を占めており、 企業的な大規模
経営を主体とした生産構造となっている。 

◇図:経営規模別飼養頭数シェア◇

 

● 一戸当たり飼養規模は拡大傾向



 一方、 96年12月1日現在の全米の豚飼養頭数は、 5,617万頭で、 前年同時期に
比べて3.6%減少した。 しかしながら、 一戸当たり平均飼養頭数について見ると、 
農家戸数の減少率が飼養頭数の減少率を大きく上回ったことから、 前年と比べて
11.2%と大きく増加し、 357頭となっている。 州別では、 伝統的な家族経営を主
体とするアイオワ州は、 536頭/戸で、 前年に比べて8.4%の増加となった。 これ
に対して、 新興の大規模経営を主とするノースカロライナ州は1,550頭/戸とな
り、 前年比24.8%増と大幅な増加が見られている。 

主要州の96年の飼養動向

資料:USDA「Hogs and Pigs」
 注:飼養頭数は12月1日時

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