USDA、 環境保護を重視した土壌保全計画の最終規則を発表 (米国)



● CRP計画への参加要件を制定


 米農務省 (USDA) は、 2月12日、 新しい土壌保全計画 (CRP) の最終規則を発 表した。  今回発表された最終規則では、 CRPへの参加要件を、 (1)その農地が、 直近の5 年間のうち2年間以上農作物を栽培したか、 または、 耕作地としての能力が認め られること、 かつ、 (2)当該農地が、 土壌浸食度指数 (*) が8以上であること、 土壌流入緩衝地や水源保護地といった環境保護地であること、 または、 政府や州 が定めるCRP優先対象地であることなどのいくつかの条件のうち一つに合致する こととしている。 (*) 土壌浸食の度合いを指数化したもの。 指数は、 その土地に保護措置を行 わなかった場合の年平均見込土壌浸食率によって区分される。 15以上の特 に脆弱な土地は保護の観点からCRPの中途解約ができないことになってい る。

● 環境保全貢献度指数によるランク付けを採用


 新規則では、 参加要件に当てはまる契約可能農地について、 野生動物保護、 水 質保全、 土壌保全、 大気保全などの要素により環境保全貢献度指数を定めてラン ク付けを行い、 これによりCRP計画への契約優先順位を決定することとしている。 なお、 このうち大気保全については、 農地から飛散する土ぼこりを防ぎ、 これに よる大気の汚染を防ぐという趣旨で、 一般からの提案意見の中から採用されて追 加したものである。

● 環境保護への配慮を強化


 CRP事業は、 土壌浸食の防止、 水質保全や野生動物の保護のために、 一定の農 地で農業生産を行わないことに対して、 政府が補助金を支払う制度である。 96年 農業法でも継続実施が認められ、 対象農地を3,640万エーカーに維持することが 決定されている。 しかし、 これまでの事業が、 生産調整を目的にしているとの一 部からの批判があったことから、 USDAは、 今回の新規則では、 より環境保護に配 慮したと言明している。

● 全米農地の約6割が新規則に適合


 USDAは、 今回の新規則の条件に適合する契約可能農地が、 全米の農地3億6,40 0万エーカーの約6割に相当する約2億3,000〜4,000エーカーであり、 そのうち 土壌浸食度の高い農地は、 約1億4,000万エーカーであると推計している。 今年 9月末には、 現行のCRP契約農地の6割を超す2,200万エーカーの契約が終了する が、 新規の申請と併せて、 これら農地の契約更新申請も3月中に行うとしている。

● 生産者団体は、 新規則に好意的


 全国トウモロコシ生産者協会など多くの生産者団体は、 今回の規則改正に歓迎 の立場をとっている。 一方、 全国小麦生産者協会では、 規則の発表が遅れたこと から、 播種期が8月〜9月である冬小麦の耕作復帰への準備期間が足りないこと を理由に、 冬小麦生産者への契約延長などの救済策を講じることを求めている。  USDAは、 今回の改正によって農作物の作付け量に大きな変化はないものとみて いるが、 一部の関係者は、 作付け量はわずかに増加するものとみている。
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