タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給動向


● 引き続き拡大する国内生産

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 5月のブロイラーの生産量は、 
対前年同月比32.3%増の69百万羽となり、 引き続き大幅な増加となった。 昨年9
月に2年5ヶ月ぶりに60百万羽を超えた生産量は、 その後9ヶ月余りで70百万羽
に迫る勢いで増加している。 また、 同月のひなのふ化羽数は、 前年同月比32.8%
増の72.1百万羽となった。 ひなのふ化羽数は、 本年3月から連続して70千万羽を
超えていることから、 今後、 引き続きブロイラー生産量の大幅な増加が見込まれ
ている。 


● 上半期は輸出及び消費が好調

 タイブロイラー加工輸出業者協会が取りまとめた97年上期の冷凍鶏肉および鶏
肉調製品の輸出数量 (速報) は、 冷凍鶏肉が70,360トン (前年同期比110%)、 鶏
肉調製品が16,317トン (同132%)、 合計で86,677トン(同114%) となり大幅な増
加となった。 

 これを相手国別にみると、 日本向けの冷凍鶏肉は46,399トン (同97%) と引き
続き減少しているが、 鶏肉調製品は14,137トン (同
129%) と順調に拡大している。 その他のアジア向け冷凍鶏肉輸出は、 韓国、マレ
ーシア、 シンガポールが大幅な増加となっている。 一方、 EU地域への輸出数量は、 
冷凍鶏肉が17,689トン (同169%)、 鶏肉調製品が2,100トン (同156%) となり、 
特に、 鶏肉調製品が大幅に増加したことが注目される。 輸出業者によると、 最近、 
EU地域に輸出された鶏肉調製品の中では、 むね肉を主原料とした蒸し鳥が、 サン
ドウイッチなどへの需要により、 輸出割合を高めているとのことである。 

 この輸出増加の主な要因は、(1)日本向け鶏肉調製品の輸出が引き続き好調であ
ったとともに、 新たに、 EU向けの同製品の輸出が拡大したこと、(2)EU向け冷凍鶏
肉の輸出が、 昨年に引き続き大幅な伸びとなったこと、(3)日本向け冷凍鶏肉の輸
出は減少したが、 韓国などその他のアジア諸国への輸出が増加し、 同地域への輸
出実績が前年並みに保たれたこと、 などにあるとみられている。 

 一方、 97年上半期の鶏肉の消費量は、 国内経済の低迷にもかかわらず、 ファー
ストフードなどの外食企業の引き続く拡大により大幅に増加しており、 前年同期
比34.3%増の375千トンになったと推定されている。 

タイの鶏肉需給の推移

 注)1 生産量は、可食部分肉数量である。
   2 鶏肉調整品の輸出数量は、実績値とした。
   3 在庫数量は、一定として試算から除外した。
   4 97年6月の生産量は、過去3ヶ月のひなえ付け羽数を勘案して推計し
     た。

● 鶏肉業界はトウモロコシの追加輸入を断念

 タイ政府は、 今年の雨期の天候が少雨による干ばつとなったため、 トウモロコ
シが減収となり供給に不足を来たす恐れが生じたことから、 5月16日付けで承認
した20万トンの関税割当て (関税率0%) に追加して、 新たに8月末を輸入期限
とした15万トンの関税割当て (同) を承認することとしていた。 しかし、 鶏肉業
界は、 8月末を期限とした輸入は物理的に不可能であることから、 9月末まで輸
入期限を延長するよう政府に求めていた。 ところが、 政府は、 9月から国内でト
ウモロコシの収穫が始まることから、 国内生産者に配慮して、 業界の求める輸入
期限の延長を認めなかった。 このため、 鶏肉業界は、 トウモロコシの追加輸入を
断念せざるを得ない結果となった。 



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