米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラー企業の最近の動向


● 家きん肉部門のランキング第1位はタイソン・フーズ

 全米ブロイラー協会 (NBC) は、 家きん肉部門の企業ランキング(96年版) を発
表した。 これは、 各社の1週間当たり平均の家きん肉生産量 (可食重量ベース、 
以下同じ) を比較しランク付けしたものである。 

 これによると、 家きん肉 (ブロイラー、 ターキー) の総合第1位は、 タイソン・
フーズ (本社アーカンソー州) で、 1週間当たり約5万4千トンを生産しており、 
第2位のゴールド・キスト (本社ジョージア州) と比べると3倍近くの生産量と
なっている。 以下、 第3位はパデュー・ファームズ(本社メリーランド州)、 第4
位はコナグラ (本社ネブラスカ州)、 第5位はハドソン・フーズ(本社アーカンソ
ー州) と続いており、 ブロイラーの生産部門についても同じ順位となっている。 
ターキーについては、 第1位はコナグラであるが、 1週間当たりの生産量は約6
千トンとブロイラーに比較するとまだ生産規模は小さく、 家きん肉部門合計の総
合順位で1、 2位となったタイソン・フーズとゴールド・キストは、 ターキーの
生産を行っていない。 また、 上位5社による家きん肉生産量の総計は、 全米全体
の生産量のおよそ5割を占めており、 大手企業による寡占化が進んでいると言え
る。 

家きん会社上位10社

 資料:National Broiler Council 調べ
  注:各社とも1週間当たりの平均生産量(可食重量ベース)


● タイソン・フーズ、 ハドソン・フーズを買収へ

 こうした中で、 9月上旬、 タイソン・フーズは、 ハドソン・フーズを買収する
ことを明らかにした。 ハドソン・フーズは、 先月、 同社のネブラスカ工場が製造
した冷凍牛肉ハンバーガーパティが原因と見られる病原性大腸菌O−157による食
中毒事件が発生したため、 過去最高の2,500万ポンド(約1万1千トン) の製品自
主回収を行うなど、 経営上、 非常に大きな打撃を受けており、 今後の行方が注目
されていたところである。 ハドソン・フーズの鶏肉部門は、 タイソン社と同じ南
部諸州を地盤としていることから、 今回の買収により、 タイソン社の経営基盤が
一層強化された。 さらに、 ハドソン社の96年の総売上高の13%はターキーである
ことから、 タイソン社は新たにターキー生産部門を所有することになった。 


● 買収には、 寡占化の促進を懸念する声も

 詳細はまだ発表されていないが、 ハドソン・フーズの関係者は今回の買収につ
いて好意的に受け止めているとされており、 買収の実現は障害が少ないとみられ
ている。 

 タイソン・フーズは、 今回の買収により、 ハドソン・フーズの7つのブロイラ
ー処理・加工場と3つのターキーの処理・加工場を獲得することになる。 また、 
同社は、 ブロイラー市場におけるシェアが27%に拡大し (買収前は22%)、 かつ、 
ターキー市場へも参入できるようになることから、 この買収によって得るものは
非常に大きいと歓迎している。 

 これに対して一部の業界関係者の間では、 こうした動きが家きん肉産業の寡占
化を一層促進するきっかけになるのではないかとの懸念が浮上している。 



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