◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC) によると、 96/97年度 (96年7月〜97年6月) の生乳生産量 は、 前年度を3.7%上回る90億4千万リットルとなり、史上最高を記録した。 豪州 の生乳生産は、 乳製品の国際需要の増加を背景に着実に拡大しており、 この5年 間で約34%の大幅な増加となった。 なお、 生乳の用途別内訳をみると、 飲用向けが全体の21%に相当する19億2千 万リットル (前年度比0.8%増) とほぼ横ばいであったのに対し、加工向けが同79 %の71億2千万リットル(同4.6%増) と大きな伸びを示した。 従って、 増産分 のほとんどが加工向けに回されたことになる。 ◇図:生乳生産量の推移◇
また、 生乳生産を州別にみると、 ニューサウスウェールズ州で7.0%、クインズ ランド州で6.1%と生産が大幅に増加したのに対して、豪州の生乳生産量の6割を 占めるビクトリア州では2.9%増、 タスマニア州では3.0%と、 比較的低い伸び率 にとどまった。 これは、 昨年後半から今年前半にかけての記録的な猛暑や、 今年に入っての雨 不足など、 これらの地域の天候の悪化が大きく影響したためと見られる。 特に、 ビクトリア州では南東部のギプスランド地域や、 西部などの主要生産地域で、 今 年に入ってから干ばつにより生産が減少傾向にあると伝えられており、 地域によ っては1割以上も下回っているとされている。 ちなみに、 過去に幾度となく豪州 に干ばつの被害をもたらしてきたエルニーニョ現象が、 これからも更に強まると 予想する向きもあることから、 今後の干ばつの影響が注目される。 州別の生乳生産量 資料:ADC 注:96/97年度は速報値
次に乳製品の生産についてみると、 96/96年度は生乳生産が増えたことによる 加工向けの増加分の多くが、 輸出が好調な全粉乳に仕向けられたため、 全粉乳の 生産は前年度比18%増と大幅な伸びを記録した。 一方、 その他の乳製品の生産量 については、 概ね横ばいとなった。 チーズに関しては、 ニューサウスウェールズ州とクインズランド州で増産とな ったものの、 ビクトリア州やタスマニア州で減産となったため、 1%の微増にと どまった。 また、 バターと脱脂粉乳に関しては、 年度前半は生産が順調であった が、 後半はあまり振るわず、 それぞれ、 前年度並みと4%増にとどまった。
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