◇絵でみる需給動向◇
行政院農業委員会 (農業省に相当) が8月22日付けで公表したところによると、 台湾の口蹄疫は、 台中県において最後に発生が見られた7月16日以降は、 全土で 発生が確認されていない。 このため、同時点までに殺処分された総頭数は385万頭 と、 以前に比べて増加していない。 口蹄疫の発生が沈静化したことに伴い、 6月26日以降禁止されていた偶蹄類動 物およびそのと体並びに非加熱製品の宜蘭県、 花蓮県、 台東県 (発生件数が極め て少なかった東部3県) および澎湖県 (離島のため、 本土と隔離されており未発 生) への持ち込みを規制する措置は、 8月13日に解除されており、 台湾政府が口 蹄疫の終息に自信を深めてきていることが窺える。 口蹄疫状況調査統計(8月22日) 資料:行政院農業委員会
これまで養豚再開や増頭を控えるよう指導してきた農業委員会は、 養豚業界が 口蹄疫騒動から落ち着きを取り戻しつつあることから、 養豚産業の建て直しを図 るべく、 今後の復興は防疫措置に対する努力次第であるとして、 養豚農家に奮起 を呼びかけている。 同委員会は、 当面、 養豚産業の規模は 「国内需要」 の範囲に 止めざるを得ないが、 将来的にWTO (世界貿易機関) へ加盟した場合、豚肉の輸入 増加によって需給バランスが崩れる恐れもあることから、 伝染病の撲滅や予防の 徹底により、 輸出が可能となる体勢づくりにも努力しなければならないとしてい る。
このように養豚産業の再建気運が高まる一方で、 6月中旬から下落を始めた肉 豚卸売価格は、 夏場を通じて一貫して下落傾向を示している。 一部の関係者は、 口蹄疫発生以来の大規模な殺処分による肉豚供給量の減少により、 9月後半から は価格の反発傾向が現れてくると予測していた。 しかし、 9月上旬の段階では、 未だその兆候は現れておらず、 2千元後半〜3千元前半 (生体100kg当たり)で推 移している。 台湾の肉豚1頭当たりの生産コストは約4千5百元 (大規模経営で は3千5百元程度) と言われており、 現在の価格は生産コストの2/3程度の水 準であることから、 損益分岐点の高い小規模飼養農家にとっては厳しい状況が続 いている。 8月中旬の中元節には、 需要が一時的に回復してある程度の価格上昇 が見られたものの、 長続きはしなかった。 この価格下落は、 猛暑の季節を迎えて 豚肉消費が細ったことや肉豚の卸売市場への供給量が依然として潤沢であること によるものである。 今後の消費の盛り上がりの焦点としては9月末の中秋節に注 目が集まっている。 なお、 農業委員会は、 肉豚卸売市場への供給量の増加は、 従来、 輸出向けとし て食肉加工場と直接取引きされていた肉豚が、 輸出の停止により、 卸売市場に仕 向けられたことにより生じていると説明している。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
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