ミルクマークの生乳販売価格がさらに低下 (イギリス)




● 販売予定価格は過去最低水準

 イギリスの生乳集荷販売組織であるミルクマーク (MM) は、 97年10月以降の生
乳販売契約を取り決める入札を実施した。 今回の入札では、 販売予定価格が、 前
回よりさらに引き下げられ、 19.8〜24.0ペンス(約40円〜48円)/リットルと、 こ
れまでのMM入札において最低の水準に設定された。 これは、 一つには、 販売予定
価格が、 EUの制度価格と関連付けて設定されることから生じたものである。 すな
わち、 (1)外国為替市場でのポンド高を反映して、 ポンドの対ECU農産物為替レー
ト(ECU建ての制度価格や補助等に適用される為替レート) が事前に切り上げられ
たが、(2)その結果、 ポンドによる表示価格が低下したため、 それに応じて同予定
価格が引き下げられたものである。 さらに、 今回、 MMが公正取引委員会の要求に
応えて、 予定価格構成要素の一つである製造コストを約2割引き下げたことも、 
予定価格が最低となった原因となった。 


● 短期契約が大半を占める

 また、 今回の入札の結果、MMの供給予定数量の85%に当たる186万トンの契約が
成立したが、 うち約半分が最も安価な契約区分 (全残乳:下表参照) に集中した。 
なお、 不落になった量は、 1日当たりでは約2千トンに相当する。 また、 6カ月
契約が全体の99%(前回67%) を占め、 12カ月契約はわずか1% (前回21%)、 18
カ月契約は成立しなかった(前回12%)。 これは、 ポンドの先高感が根強いことか
ら乳業会社が、 今回と同様に次回もポンド表示の販売予定価格が一層低下すると
予想して、 長期の契約を嫌ったためである。 

 なお、 平均推定販売価格は21.3ペンス(約45円)/リットルで、 前回よりも約1
割低下することとなった。 


● 新たな委託製造販売事業の拡大に意欲

 従来、 不落となった生乳は、 スポット市場で販売されることとなるが、 今回、 
MMは、 生乳の委託製造販売事業の拡大に意欲を見せている。 

 この事業は、 製造プラントを有さないため余剰乳の処理に難点を持つMMが、 今
年から新部門 「ミルクマーク開発」 を設立して開始したものである。 国内外の乳
業会社を対象とした今年5月のその第一回の入札では、 オランダのコベルコ社が
7月から1日当たり1万8千トンのバターや粉乳の製造を落札しており、 製造さ
れたバターや粉乳は、 輸出向けに販売されている。 現在のところ、 2回目の委託
製造入札が進行中である。 今回は、 10月から12月までの生乳の処理が入札に付さ
れており、 製造対象品目も前回のバターや粉乳の他に、 クリームや脱脂濃縮乳な
どが含まれている。 

MMによる生乳販売価格の推移

 注1:( )内は、契約数量(千トン)
  2:ResidualのA/B区分は、供給保証数量の違い等による。
  3:レートはグリーンレート(1ECU=ポンドX)で、8月21日にさらに0.69
    6に切り上げられた。


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