連邦食肉検査法の改正法案を発表 (米国)




● USDAの権限強化により食肉安全性を強化

 米農務省 (USDA) は、 8月29日、 過去最大の製品自主回収措置が行われたハン
バーガーパティによる食中毒事件 (コロラド州) を契機に、 食肉の安全性確保を
強化する法案を議会に提出すると発表した。 USDAは、 この改正法案について、 今
回の食中毒事件を契機に、 USDAの権限を強化することを通じて、 食肉の安全性を
より強固に確保するためのものであると説明している。 同改正法案により、 USDA
に与えられる権限は以下の3点とされている。 

(1) 公衆衛生に危険をもたらす可能性のある粗悪品および不当表示された食肉・
  家きん肉の流通停止・回収を命ずる権限

(2) 連邦食肉検査法または連邦家きん肉製品検査法に故意に、 あるいは繰り返し
  違反した場合、 USDAによる検査を拒否または停止する (実質的な工場の操業
  停止を意味する) 権限

(3) 連邦食肉検査法または連邦家きん肉製品検査法の違反者に対し、 金銭による
  民事罰 (1日当たり最大10万ドル=約1千2百万円) を賦課する権限


● 食肉と家きん肉の衛生規則統一についても提案

 また、 USDAは、 8月28日には、 食肉・家きん肉に係る衛生規則の改正案を発表
した。 
 USDAは、 これまで行われてきた食品の安全性確保に関する規則の改善および食
肉・家きん肉検査の近代化努力の一環として、 次の2つの規則の改正案も発表し
た。 

(1) これまで食肉と家きん肉について別々に定められていた衛生規則を1つの規
  則に統合するとともに、 現行衛生規則中の慣例に沿った基準を、 よりHACCP 
  (危害分析重要管理点監視方式) に準拠したものにする。 

(2) 処理施設の青写真、 図面、 器具機材および品質管理計画に関する事前承認手
  続きを廃止することにより、 業界の自主性と製造者自己責任の比重を拡大す
  る。 


● 業界は、 USDAの動きに反発

 USDAによる製品の強制的な回収を目玉とする今回の改正法案の発表に対して、 
食肉関係団体は、 現行法下においても実質的に製品の回収や厳しい刑事的な制裁
が行えること、 また、 今回の改正案が食中毒の防止にではなく罰則に力点を置い
たものであることを挙げて、 これに強く反発している。 



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