豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○牛肉の輸出が回復傾向


対米輸出増加が好転の原因

 豪州食肉畜産公社 (AMLC) が発表した97年6月の豪州の牛肉輸出量は6万8
千トンで、 前年同月比21.2%増と大きな伸びとなった。 1〜6月の累計でみ
ても38万5千トンと前年同期比10.1%増と二ケタ台の伸び率を確保してお
り、 長期にわたる輸出の低迷傾向から、 ようやく脱する兆しが伺えるものとなっ
ている。 

 1〜6月の輸出動向を国別に見ると、 最大の輸出シェア (40%) を占める日
本向けは0.4%増の15万4千トンと、 ほぼ横ばいとなったのに対して、 第2
位のシェア (30%) を占める米国向けは38.9%増の11万3千トンとなっ
ている。 このことから、 上半期における輸出増加は、 米国への輸出が好転したこ
とがその主な原因となっている。 対米輸出が好転した背景には、 米国の牛群のキ
ャトルサイクルが下降局面に移行したことなどから、 国内のと畜が減少している
ことが挙げられる。 

 なお、 対米輸出の増加にともなって、 その中心を占める加工用牛肉の輸出価格
も、 97年2月以降は、 前年同月を20%程度上回る水準で推移しており、 価格
の面でも対米輸出の好調を裏付ける形となっている。 

◇図:豪州の月別輸出量の推移◇


カナダ、 台湾等への輸出が急増

 豪州の牛肉輸出は、 上位7カ国で全体の9割を占める構造となっているが、 日
・米以外の主要相手国についてみると、 3位 (シェア6%) の韓国向けが8.7
%減少した以外は、 4〜7位のカナダ、 台湾、 インドネシアおよびフィリピンが
それぞれ50. 6%、 36. 9%、 86. 0%および12. 4%という大き
な伸びを記録しており、 対米輸出と同様に好調な結果となった。 

 この中では、 特にインドネシアが2倍近い顕著な伸びをみせ、 前年同期では6
位であったフィリピンと順位が入れ替わった。 同国は近年、 著しい経済成長によ
る所得の向上を背景に、 生体牛の輸出相手先としても台頭してきており、 今後、 
豪州の牛肉・肉牛輸出産業にとっては、 益々重要な市場となってゆくものと考え
られる。 

◇図:豪州の牛肉国別輸出量◇


回復が期待される日本市場

 次に、 最大シェアを占める対日輸出についてみると、 1〜6月の輸出量につい
ては大きな改善が見られなかったものの、 米国のと畜が減少傾向にあることから、 
対日輸出不振の要因の一つであった日本市場での米国産牛肉との競争が次第に緩
和されて、 将来的には対日輸出も好転し始めることが期待されている。

対日牛肉輸出状況(97年1〜6月)

 資料:AMLC「Meat & Livestock Review」
  注:( )内は前年同期比



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