◇絵でみる需給動向◇
米農務省の調査によると、 97年7月1日時点の牛の総飼養頭数は、 前年同期 比で2. 4%、 270万頭減少して、 1億880万頭となった。 97年1月時点の飼養頭数の調査では、 7年ぶりに、 総飼養頭数が前年比でマ イナスに転じたことから、 関係者は、 キャトルサイクル (肉牛経営の収益性の変 化による、 循環的な牛群の消長) は、 ピークを過ぎて下降 (減少) 局面に転じた ことが明らかになりつつあると分析していたが、 今回の7月調査でも、 総飼養頭 数が前年比でマイナスとなったことにより、 このことが裏付けられる結果となっ た。 牛の総飼養頭数 資料:USDA「Cattle」
肉牛については、 昨年の飼料価格の高騰により収益が圧迫されたことで雌牛の とう汰が進んだことから、 肉用繁殖雌牛 (経産牛) は前年同期比2.5%減の3, 470万頭に、 また、 更新用の肉用未経産牛 (227kg以上) も同3.6%減の 530万頭となった。 また、 肥育用去勢牛 (227kg以上) も前年同期比3.3 %減の1,460万頭となった。 このように、 米国の牛飼養は、 肉用牛群が大部 分を占める構造であることから、 その縮小が、 キャトルサイクルを減少局面に転 じさせる要因となっている。
一方、 キャトルサイクルが減少局面に転じたことや経営環境に改善傾向がみら れること等から、 肉用経産牛のと畜頭数に変化が表れてきている。 肥育素牛価格の低迷が続いたことから、 過去数年間、 肉用経産牛のとう汰が進 められてきたが、 飼料価格の低下と肥育牛価格の上昇によってフィードロットへ の導入頭数が増加し、 肥育素牛の価格が上昇したことから、 このところそのとう 汰に減速傾向があらわれ始めている。 97年1月から6月までの経産牛のと畜頭数は、 前年同期と比べて7.5%減 の313万頭となった。 また、 全と畜頭数に占めるその割合も、 前年同期の18. 7%から17. 6%へと約1%減少している。 その内訳を見ると、 肉用経産牛のと畜頭数は、 前年同期比11.3%減の16 9万頭 (全と畜頭数に占める割合は、 96年同期が10.5%、 97年同期が9. 5%) に、また、乳用経産牛と畜頭数は、 前年同期比2.6%減の144万頭 (同、 96年は8. 2%、 97年は8. 1%) となっており、 肉用経産牛のと畜頭数 の減少がきわだっている。 ◇図:と畜頭数の推移(種類別)◇
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