米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラー輸出が減少


97年1〜4月は前年同期比1.8%減

 97年1月から4月までのブロイラー輸出量は、 前年同期に比べ1.8%減の
63万1千トンとなった。 ブロイラー輸出は昨年末に急減したが、 97年に入っ
てからも、 通常なら輸出が増加する2月になっても、 全体としては、 あまり回復
する傾向が見られない状況が続いている。 


香港、 日本向けが不振

 97年に入ってからの輸出低迷は、 全体の約4分の1を占める香港や日本など
のアジア向けが不振であることが大きく影響している。 97年1月から4月まで
の香港向け輸出は、 前年同期を15.7%と大きく下回り、 総輸出量に占めるシ
ェアが低下した。 また、 日本向けについても、 競合する中国が対日輸出を強化し
たことから、 前年同期に比べ28.2%の大幅減となった。 これにより、 1月か
ら4月までの実績では、 対日輸出はメキシコに次いで4番目に後退した。 

◇図:97年(1〜4月)輸出割合◇


ロシア、メキシコ向けは好調

 一方、 約4割を占める最大の輸出市場であるロシア向けについては、 昨年末に
は関税の徴収手続きを巡り一時停滞したことがあったものの、 混乱が落ち着くに
したがって回復し、 その後も引き続き増加傾向を示している。 1月から4月まで
の対ロシア輸出量は、 前年同期比13.1%増の29万4千トンとなり、 総輸出
量に占めるシェアは46%に上昇している。 また、 そのほかに増加が見られるの
はメキシコ、 カナダ向けで、 前年同期と比較すると、 それぞれ、 14.3%、 3
5.8%と大幅に増加している。 これら2国は、 どちらも北米自由貿易協定 (NA
FTA) の加盟国であることから、 NAFTAが、 米国のブロイラー輸出にとって有利に
作用した結果であるとして、 業界関係者は歓迎している。 

◇図:96年(1〜4月)輸出割合◇


大手企業は海外進出を進める

 ブロイラー生産は、 アーカンソー州、 ジョージア州などの南部・東南部を中心
に行われているが、 ブロイラー企業では、 ひなの生産から処理・加工に至るまで
の一貫生産が行われている。 また、 最近では、 海外市場の開拓戦略として、 直接
海外に進出して、 現地企業との技術提携や合弁を通じて、 ブロイラーの生産・販
売に携わる事業計画を発表している。 最大手ブロイラー企業の一つは、 すでに中
国に進出して一貫生産を開始する計画を進めており、 さらに、 東南アジアに対し
ても進出することを検討中であるとしている。 関係者の話では、 計画が実現すれ
ば、 生産に必要な飼料やひななどに対する継続的な需要が期待できるとし、 新た
な事業展開に大きな期待を寄せている。 しかしながら、 これらはまだ本格的な稼
働には至っていないことから、 こうした米企業の海外進出が、 米ブロイラー業界
にとってプラスとなるか、 今後の動向が注目されるところとなっている。



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