◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC) によると、 豪州の全粉乳生産量は、 ここ数年間連続して前年 を上回って推移しているが、 96/97年度 (96年7月〜6月) においても、 4月までの10ヶ月間の生産量が、 前年度同期を17.9%と大きく上回り、 1 2万6千トンに達した。 バターと脱脂粉乳の対前年度同期比の増加率が、 それぞれ1. 8%、 4. 6 %と1ケタ台であったことや、 また、 チーズにいたってはマイナスとなったこと と比較すると、 全粉乳の増加率は、 際立って高いものとなっている。 ◇図1:全粉乳生産量の推移◇ 乳製品の生産量の推移(各年度7月〜4月) 資料:ADC「Monthly Statistics」
全粉乳のマーケティングにおける特徴としては、 生産量に占める輸出向けの割 合が極めて高いことが挙げられる。 国内販売が多いチーズでは、 輸出向け割合が 4割であるのに対して、 全粉乳では、 輸出が8割以上を占めていることから、 予 め輸出仕向けを前提として生産されている製品であることがわかる。 ただし、 こ のように生産の大半が輸出に向けられていることから、 一方で、 その生産動向は、 海外の需給事情に大きな影響を受ける状況にあると考えられる。 ◇図2:生産量に占める輸出の割合(95/96年度)◇
全粉乳は、 還元乳類の製造のほかに、 パン製品、 菓子類、 ヨーグルト、 アイス クリームの製造用として用途も幅広く、 使い勝手がよいことから、 海外市場にお いても、 アジアや中東市場を中心に引き合いが多い。 そうした地域での需要増に 対応するため、 最近の傾向として、 豪州国内における全粉乳製造のための設備の 増設・新設が相次いで進められている。 こうしたことから、 豪州の全粉乳生産は、 今後も増加を続けるものと見込まれる。
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