◇絵でみる需給動向◇
97年上半期の全国の生乳生産量は、 前年同期比1.0%、 37万トン増加し、 3千606万トンとなった。 これを四半期別にみると、 第1四半期は、 2月に、 主要生乳生産地域で天候不 順 (大雨) 等の影響を受け、 前年同月比で2.3%下回ったことから、 同四半期 トータルでは、 前年同期を0.3%下回った。 しかし、 第2四半期には、 1頭当 たりの搾乳量が第1四半期に比べて4. 4%増 (前年同期比3. 7%増) とな ったこともあって、 生産量は、 前年同期を2.4%上回った。 この結果、 上半期 トータルでは、 前年同期をわずかに上回ることとなった。 生乳生産等動向(97年上半期) 資料:USDA「Milk Production」
97年上半期の生乳生産量を州別にみると、 第1位はカリフォルニア州で62 0万トン、 以下、 ウィスコンシン州508万トン、 ニューヨーク州264万トン、 ペンシルベニア州246万トン、 ミネソタ州217万トンの順となっており、 前 年同期と順位の変動はなかった。 また、 これらの上位5州の生産量は、 全米生産 量の51%を占めた。 しかしながら、 上半期の上位5州の生産量の動向についてみると、 搾乳牛の飼 養頭数が前年同期で1. 4%増加したカリフォルニア州が、 前年同期を6. 6 %、 38万トン上回ったのに対して、 他の4州は、 いずれも、 0.8%から1. 9%の幅で、 前年同期を下回った (上位10州でみても、 生産量が前年同期を上 回ったのは、 カリフォルニア州、 ワシントン州、 アイダホ州の3州のみであった) 。 これは、 カリフォルニア州が、 近年続いている搾乳牛の増加傾向を維持したこ とと、 大雨による被害からの回復が早かったのに対して、 生産が減少した州では、 搾乳牛の飼養頭数が減少したことに加えて、 大雨や洪水によってヘイ(粗飼料)価 格が高騰し、 さらに生乳生産に関連する施設や輸送ラインの回復が遅れたことが 影響したとされている。
また、 上位10州のうちで最も伸び率が高かったのはアイダホ州 (96年上半 期の生乳生産量10位、 97年9位) で、 搾乳牛の飼養頭数が96年上半期と比 べて7%、 18,000頭増加したことから、 多くの州が前年と比べて生産量が マイナスとなっている中で、 前年同期比10.3%増の112万トンとなり、 生 乳生産が急速に拡大している。 アイダホ州の生産が大きく伸びている背景には、 生産効率の高い大規模酪農経 営の増加 (200頭以上を保有する経営体が、 全体飼養頭数の76%を占めてい る) が良好な粗飼料供給基盤と結びついて、 効果を発揮しているものと考えられ る。 アイダホ州の生乳生産量がこのペースで増加を続けた場合には、 今年末から来 年初めには、 ワシントン州、 ミシガン州、 テキサス州を抜いて、 全米第6位の生 乳生産州になると、 関係者はみている。
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