米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豚肉生産が増加に転ずる


収益の回復が背景

 97年1月から7月までの豚枝肉生産量は、 同期間のと畜頭数の減少を反映し
て前年同期に比べて1.9%減の437万5千トンとなった。 しかしながら、 6
月以降は、 これまでの減少傾向から一転して、 前年水準を上回って推移している。 

 96年の豚肉生産は、 牛肉、 鶏肉の供給増による豚肉への需要圧迫や飼料穀物
価格の高騰による生産コストの上昇から、 収益が悪化し減少傾向にあった。 しか
しながら、 その後、 97年3月下旬に台湾で口蹄疫が発生し、 台湾産豚肉の最大
輸入国であった日本における代替需要が米国に集中して価格を押し上げたことや、 
飼料穀物価格の低下で収益が回復したこともあって、 生産者の増産意欲が増し、 
これらが、 6月以降の豚肉生産増加を導いたものと考えられる。 

◇図:養豚経営の純利益の推移◇


97年通年は前年並み、 98年は8%増の見込み

 飼養動向調査に基づいた米農務省の生産予測を見ると、 97年第3四半期のと
畜頭数は、 肥育豚頭数の増加に伴い、 前年同期に比べ1〜2%程度の増加になる
としており、 このため生産量も、 前年同期に比べて3%増加することが見込まれ
ている。 さらに、 第4四半期の豚肉生産量は、 97年3月から5月までの子豚頭
数が2%増加したことを受けて、 前年同期比2%増になると予測している。 ただ
し、 通年の豚肉生産量は、 上半期の減少分が影響して、 ほぼ前年並みの水準にな
ると見込まれている。 なお、 98年については、 分娩頭数の増加が見込まれるこ
とから、 97年からの生産増加傾向が継続し、 およそ8%の増加になると予想し
ている。 


肥育豚の輸入が増加

 一方、 近年の豚飼養頭数の減少によりパッカーの加工処理能力が余剰気味とな
っていることを受けて、 肥育豚輸入が増加している。 肥育豚の輸入相手先は、 輸
出の供給余力が大きく、 かつ、 伝統的な豚肉生産地域である米国中西部に近隣す
る地理的条件などから、 その大部分がカナダとなっている。 97年1月から4月
までのカナダ産肥育豚の輸入頭数は、 前年同期比17.9%増の99万頭と大幅
な伸びを示している。 

◇図:カナダ産肥育豚の輸入推移◇

 肥育豚の輸入は、 国内生産の不足分を補う形で行われているが、 一方では、 米
国の豚肉生産が97年後半から増加に転じた要因の一つとして、 こうした肥育豚
輸入の増加も影響を及ぼしていると考えられる。



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