97年度の農産物政策価格パッケージに合意 (EU)




畜産物の政策価格は据え置き

 EU農相理事会は、 6月末、 97年度の農産物の支持価格等に関する政策価格パ
ッケージに合意した。 これによると、 畜産物の政策価格は、 今後、 共通農業政策 
(CAP) の改革の中で併せて検討することが予定されていることもあって、 EU委員
会の提案どおり据え置きとなった。 主要な政策価格は、 次のとおりである。 

97年度政策価格パッケージ(ECU/100s)

 注:政策価格の適用年度は、牛乳・乳製品及び牛肉については、97年7月1日
   から98年6月30日、また、豚肉および羊肉については、97年1月2日から
   98年1月1日となっている。

市場制度については、 今後の検討課題を残す

 また、 畜産分野の制度については、 大幅な変更はなかったものの、 次のような
決定が行われる一方で、 今後の検討課題も残された。 

 まず、 酪農分野では、 飲用牛乳の乳脂肪率に関する規定の適用から、 引き続き
スウェーデンとフィンランドを99年末まで除外することとした。 これは、 EUの
飲用牛乳の種類別規格に関する規定が、 両国の生産流通実態に合致しなかったこ
とから、 95年のEU加盟の際、 暫定的にこの規定の適用を免除されたもので、 今
回、 この措置が2年間延長されることとなった。 なお、 この他には、 旧東ドイツ
地域で、 旧集団農場の民営化が完全に終了していない段階での個人あるいは企業
へのクオータの配分に関する特別協定の取扱いや、 スペインおよびイタリアにお
けるクオータの柔軟な運用などについて、 今後、 EU委員会と農相理事会で協議す
ることが決定された。 

 牛肉分野については、 アイルランドから、 現行の入札による介入買入れ制度が
十分に機能していないとの意見が出され、 EU委員会に対して、 現在の買入れ制度
の見直しが求められた。 また、 子牛と畜奨励金制度については、 早ければ今秋に
発表が予定されている当該制度の評価に関する報告によっては、 奨励金の減額を
検討することが合意された。 現在、 この制度により、 乳用牛には1頭当たり12
0ECU (約1万5千3百円) 、 肉用牛については同150ECU (約1万9千2百円) 
が支払われている。 


BSE対策に絡む予算の組み替えは合意に至らず

 当初、 EU委員会は、 今年の政策価格パッケージ案の検討に際し、 牛海綿状脳症 
(BSE) 対策などの新しい支出項目に対する財源を確保するため、 穀類や油糧種子
分野への支出を14億ECU(約1千8百億円) 削減することを提案していた。 今回
の農相理事会では、 この提案が最大の論点となったが、 結局は加盟国間の意見の
相違が埋められず、 合意に至らなかった。 このため、 今後の農産物の市場動向に
よっては、 支出の削減を迫られる分野が出現する可能性が出てきた。 



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