進展するキャトルケアの普及 (豪州)
キャトルケアの普及率は平均5. 9%
豪州には、 95年から豪州肉牛協議会が中心となって推進している 「キャトル
ケア」 と呼ばれる肉用牛生産段階における品質管理 (QA) システムがある。 これ
には、 食肉への農薬等化学物質の残留、 粗雑な管理による枝肉のダメージ等を未
然に防止することを目的として、 生産者がチェックする重要管理点が定められて
いるが、 そのシステムを採用するかどうかは、 生産者の任意とされている。 これ
に対して、 他地域と生産事情が大きく異なるクインズランド州では、 キャトルケ
アの一部を取り入れる形で、クインズランド州独自の 「Qケア」 システムを構築し、
その普及に努めてきた。
豪州資源経済局(ABARE) の調査によれば、 何らかのQAに取り組んでいる肉牛農
家 (QA農場としてすでに認定を受けた者と、 認定を受けるべくQAマニュアルの作
成に取り組んでいる者の合計) は、 豪州全体で約3000戸、 5.9%と推計さ
れている。
クインズランド州では15%の農家に普及
州別には、 クインズランド州が15%と最も普及しており、 次いでニューサウ
スウェールズ州5. 2%、 ビクトリア州3. 3%と、 肉用牛生産の主要3州で
普及が進んでいる。
なお、 「Qケア」 は、 前述のとおりクインズランド版キャトルケアと言えるが、
同州で取り組まれているQAシステムのうち、 79%がQケアとなっている。
今後も予想されるQAの普及
ABAREの調査によると、 現在QAに取り組んでいない農家の61. 8%がQAを支
持し、 30.3%が今後1年以内の取り組みを予定しているとされており、 この
結果からは、 今後、 QAが急速に普及することが予想される。
現在、 豪州の肉牛産業界では、 「農場から食卓まで」 (`paddock to plate')
を合言葉に、 生産・肥育・と畜の各段階でQAシステムが構築され、 また、 この間
をつなぐ、 家畜輸送、 取引市場でのQAプログラムも検討されている。
さらに、 これら一連のQAの 「成果」 (安全でおいしい) を、 最終的に消費者に
客観的に伝える手段としてのEQA(食味保証) プログラムも検討の最終段階に入り、
まもなく実施される予定となっている。
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