新技術の導入が進む豪州の酪農産業 (豪州)
競争力強化を目指して経営実態を調査
豪州酪農の国際競争力の強化を図る上で、 新技術の導入と、 経営管理の改善を
通じた農場段階での生産性の向上は、 重要課題の1つである。 このため、 酪農研
究開発公社(DRDC) は豪州資源経済局 (ABARE) に委託して、 生産・経営技術に関
する酪農家調査を定期的に実施しており、 この程、 その調査結果が発表された。
パーラーでの搾乳効率が向上
当該調査結果によれば、 タイプ別のパーラーの普及率は、 ヘリンボーンが74
%と依然として中心をなしているが、 最も効率の低いウオークスルーの割合が1
9%に低下したのに対して、 ロータリーは7%に増加してきている。 また、 作業
者1人当たりの搾乳頭数でも、 ウオークスルーで46頭から45頭へと横ばいで
あるものの、 ヘリンボーンで79頭から88頭へ、 ロータリーで133頭から1
55頭へと増加している。 また、 ロータリーについては、 1時間当たりの搾乳頭
数でも、 93/94年度の131頭から今回は153頭へと、 大きく増加してお
り、 搾乳効率の改善が進んでいる。 こうしたパーラーのタイプ別の普及率の変化
は、 近年の酪農家による規模拡大、 生産効率改善への意欲を反映しているものと
考えられる。
コンピューターの普及で経営管理が改善
一方、 この調査では、 農家の経営管理の改善への取り組みの状況を、 コンピュ
ーターの利用という視点で捉えており、 これによると繁殖、 生乳生産、 財務等の
管理のためにコンピューターを利用している農家は、 45%に達している。 これ
は前回調査時 (16%) に比較して約3倍であり、 コンピューターの普及率は、
飛躍的に拡大していると言える。
一般に、 豪州の酪農産業は、 輸出依存度が高く、 また、 生産条件の面では粗飼
料への依存度が高く、 経営が国際市況や気象状況に大きく左右されるという、 生
産者の力ではいかんともしがたい宿命を抱えている。 しかしながら、 個々の経営
レベルでは、 着実に生産・効率の改善が進められており、 「基礎体力」 の強化が
図られつつあるといえよう。
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