農林水産業総生産額に占める畜産のシェアが30%に (中国)




「農林業」 では畜産が全体の1/3を稼ぎ出す

 国家統計局がまとめた 「中国統計摘要」 97年版によれば、 96年の 「農林水
産業」 の総生産額は、 記録を更新した穀物の増産や畜産物の増産を反映して、 前
年比9.4%増の約2兆3千4百億元 (約35兆円) となっている。 このうち畜
産部門は、 約7千80億元 (約11兆3千億円) で、 全体に対する割合は30. 
2%となり、 畜産のシェアが史上初めて30%を超えた。 

 なお、 総生産額から水産部門を除いた 「農林業」 部門では、 畜産業のシェアは
33.0%と全体の3分の1を占めることになる。 またさらに、  「農林業」 部門
から林業部門を除いた 「農業」 部門でみると、 畜産業は34.3%を占めること
になる。 


過去18年間に畜産のシェアは倍増

 農業改革が始まった時期との比較で見ると、  「農林業」 における畜産のシェア
は倍以上になっている。 すなわち、 シェアだけを単純に比較すると、 農村改革に
より人民公社制度が廃止される前年の78年が15. 2%であったのに対して、 
18年後の96年には33. 0%と、 そのシェアは約2. 2倍になっている。 

 また、 過去18年間における動向についてみると、 9年前 (87年) のシェア
は23.9%であったことから、 畜産のシェアは、 その後半の期間においてより
急速に拡大したことになる。 このことは、 85年に、 畜産部門において生産が自
由化された以降、 改革・開放にともなう持続的な国家経済の成長と相まって、 畜
産業の成長が加速されたことを反映したものである。 


豚部門安定成長や穀物増産によりシェア拡大が鈍化

 また、  「農林業」 におけるシェアの動向を直近9年間についてみると、 中間年
の92年が29.1%であったことから、 その前半の方がより急速にシェアが拡
大していることになる。 このことは、 近年では、 1)畜産部門で最大ウエートを占
める豚肉増産ペースがやや衰え安定成長化したのに対して、 2) 穀物は、 95、9
6年と連続して史上最高の豊作を記録するなど、 耕種作物部門が好調であったこ
とを反映したものであると考えられる。 

 97年についても、 畜産及び穀物部門では、 現在までのところ、 96年と類似
の生産傾向を示すと予想されることから、 総生産額における畜産のシェアが、 再
び以前の拡大ペースを取り戻すことは、 当面、 起こることはなさそうだ。 


地方行政単位別のシェアではチベットがトップに

 最後に、 96年の 「農林水産業」 における畜産シェアのランキングを、 全国3
0の地方行政単位(省・自治区・直轄市)別に見ると、 チベット自治区が48.4
%でトップ、 また、 同自治区に隣接する青海省が44.8%で第二位となってい
る。 両自治区・省では、 遊牧を交えた牧畜が第一次産業の主要部分を占めており、 
そのシェアは全国平均を大幅に上回っている。 

 これに対して、 両自治区・省と同様に、 牧畜業が主体と見られやすい新彊ウイ
グル族自治区や甘粛省では、 同シェアがそれぞれ20. 3%、 26. 0%と、 
全国平均以下の水準となっている。 これについては、 この地域が伝統的に麦類の
主要生産地域で、 特に新中国成立以降は、 糧食生産基地として育成されてきたこ
とが、 その背景にあるとみられる。 

 なお、  「農林水産業」 総生産額が100億元以上の行政単位における畜産シェ
アランキングは以下のとおりで、 南部に位置し養豚が盛んな広西チワン族自治区
が、 38. 0%で第一位となっている。 

  1) 広西チワン族自治区  38. 0
  2) 湖南省        37. 6
  3) 吉林省        36. 4
  4) 四川省        35. 7
  5) 遼寧省        34. 4
  6) 河北省        33. 7
  7) 山東省        33. 5
  8) 内蒙古自治区     31. 9
  9) 江西省        31. 5
 10) 河南省        30. 6
────────────────────
   全国平均       30. 2

 (注)  ○内は順位 数字の単位は%
 (参考) チベット、 青海省の総生産額:チベット 36億元 青海省 56億元



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