交雑種利用が進む鶏卵生産 (インドネシア)




畜産物消費の中心は鶏卵

 インドネシアでは、 鶏肉、鶏卵が畜産物消費の中心となっている。 このうち、鶏
卵 (アヒルの卵を含む。 ) の、 1人当たりの年間消費量は、 3.6kg (96年推
定値。 以下同じ。 ) と最も多くなっており、 次いで、 鶏肉3.0kg、 牛肉1.6
kgの順となっている。 

 ちなみに、 96年の鶏卵生産量は、80万トン弱とされており、 この内訳は、デ
カルブなどの外来の卵用種を用いて大規模生産された鶏卵が6割以上を占め、 2
割弱が地鶏の卵、 残り2割がアヒルの卵とされている。 


高値で取り引きされる地鶏卵

 このうち、 地鶏の卵は、 特に味が良いとして人気が高まっており、 伝統的な薬
や飲料の材料としても需要が多く、 一般の鶏卵と比較して高値で取引されている。 
このため、 地鶏の肉及び卵は、 農家にとって貴重な収入源の一つとなっている。 

 ただし、 これらの地鶏は、 卵用種として系統的に育種改良されていないため、 
産卵率が低く、生産拡大が容易ではない。 このため、卵生産に利用した後の10ヶ
月齢程度の地鶏を、1羽3千ルピーで販売できるにもかかわらず、地鶏を用いてい
る採卵農家の収益性は、 あまり高いとは言えない状況にある。 

 こうしたことから、 一般的には地鶏農家は、 卵での販売は行わず、 より有利な
地鶏肉の生産を指向する傾向が強くなっている。 


期待される採卵鶏との交雑種

 しかし、 最近では、 この地鶏による卵生産の生産性の低さを補うため、 レグホ
ーン種と地鶏の交雑種が民間で作出され、 普及し始めている。 この交雑種は、 レ
グホーン種の特性を強く持ち、 180日間ほぼ毎日1個を産卵する。 しかも、 こ
の交雑種の生む卵は、 色、 形状、 大きさなど地鶏の卵と同様であるため、 地鶏の
卵と同程度の価格で取引されている。 

 このため、 この交雑種は、 収益性の高さが評価され、 中部ジャワを中心に急速
に普及が進んでいる。 今後、 この交雑種の普及により鶏卵出荷量が増加した場合
には、 卵価が低下することも懸念されるが、 当面は、 中小養鶏農家の所得向上に
大きく寄与することは間違いないものと期待されている。 



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