NAFTA、 メキシコ向け輸出拡大等に貢献 (米国)




米国の官民ともにプラスの評価

 政府、 民間の関係委員会は、 7月中旬、 北米自由貿易協定 (NAFTA)の評価に関
するレポートを相次いで発表した。 これによると、 両レポートとも、 加盟による
効果が得られていると分析している。 

 ちなみに、 NAFTAは、94年1月1日に発効した。 その目的は、 米国、 カナダお
よびメキシコの加盟3カ国が、 一部の例外を除き、 それぞれの関税および非関税
障壁を15年間で撤廃することにより、 貿易の拡大と投資の促進を図ることとさ
れている。 


ITC報告では貿易面で有効

 政府関連の報告は、 NAFTAの規定が、 大統領に対し、協定発効後3年間の運用の
実態およびその効果について議会に報告することを求めていることから、 米通商
代表部 (USTR) の要請を受けた国際貿易委員会 (ITC) がとりまとめた。 

 これによると、 国内総生産 (GDP) や経済成長率、 雇用に対しては、 NAFTAによ
る特定の効果は認められなかったものの、 貿易面では、 特にメキシコへの輸出拡
大に効果があったと報告している。 また、 産業分野別では、 調査された68の産
業分野のうち、 穀物や油糧種子を含む9つの産業分野において効果があったとし
ている。 


民間報告では特にメキシコ向けの拡大を評価

 一方、 26の農業・農産物加工業者の関係団体による民間の合同委員会は、 IT
Cとは別に、 農業分野に特定したNAFTA評価に関するレポートを、 同じ時期に発表
した。 

 これによれば、 NAFTAは、米国の農業全般に非常に良い効果を与えているとして
おり、 メキシコの輸入農産物・食料品に占める米国産のシェアは、NAFTA成立以前
の67%から、96年には78%を占めるようになったとしている。 特に食肉(家
きん肉を含む) については、 輸入品の9割強にまで達していると強調している。 
また、 米国にとってカナダは、 日本に次ぐ第2位の農産物輸出相手国となってい
るが、 NAFTA成立後は、 畜産物の輸出が増加傾向を示していることから、この面で
も輸出拡大効果を高く評価している。 


今後は例外品目の取扱いとその影響に注目

 今回公表された両レポートは、労働および環境団体によるNAFTAへの批判を抑え
るためもあってか、プラス面だけが強調されたものとなっている。 NAFTAはまだ緒
についたばかりであり、 今後は、 乳製品などの (NAFTAによる自由貿易の)例外品
目の取り扱いや、 今後のさらなる関税の削減が、 加盟3カ国の経済にどのような
影響を与えるのかが注目される。 


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