USDA、 災害援助対策を発表 (米国)




米大統領、 災害援助法に署名

 クリントン大統領は、 先頃、 同政権の懸案の1つとなっていた災害援助法案に
サインを行った。 これを受けて、 米農務省 (USDA) は、 ノースダコタ州、 サウス
ダコタ州およびミネソタ州への水害対策を含む、 災害援助対策の概要を発表した。 
また、 同時に、 その一環である家畜補償事業の実施と、 自然災害により被害を受
けた農家に対する支援策を発表した。 


家畜損失の補償事業に5千万ドル

 畜産関連事業の概要は次のとおりとなっている。 

1.  家畜補償事業 (予算額5千万ドル:約58億円) 。 

 洪水により被害を受けた畜産農家を中心として、 昨冬の暴風雪により家畜を失
った農家を支援するための事業。 

1) 対象となる家畜は、 肉用牛、 乳用牛、 豚、 家きん。 

2) 本事業の対象となるのは、96年10月1日から97年6月12日までの期間
 に被害を受けた生産者。 

3) かつ、 大統領または農務長官の指定した地域内の生産者に限られる。 

4) 生産者は、本事業に係る補助を受けるに当たっては、 損害額を証明する証拠書
 類を提出しなければならない。 

5) 補助が受けられるのは、 通常の死亡率を上回って家畜が死亡した場合とする。 

6) 個々の農家ごとの損害額は、 自然災害により死亡した頭数に、災害の発生した
 期間における家畜の市場評価額を乗じて算定した額とする。 

7) 補助金は、 損害発生の認定後、 損害算定額の3分の1が概算で支給される。そ
 して、 損害総額が確定した後に、 これが50億ドル以内であれば、 残りの全額
 が、 50億ドルを超えれば、 超えた分だけ定率で削減された額が支給される。 

2.  経営資金融資 (1億6千4百万ドル:約190億円) 

 自然災害により、 生産の減少した農家や物理的損害を被った農家に対して、 低
利の融資を行う事業である。 なお、 新規就農者に対しては、 さらに特別の融資枠
が設けられている。 

3.  その他の対策

 この他に、 緊急農地保全事業 (7千万ドル) 、 緊急流水域保護事業 (1億6千
6百万ドル) 等が実施される。 


CRP対象地を草地として緊急利用

 また、 USDAは、 上記の災害対策法案に基づく対策と併せて、 粗飼料不足や経営
支援対策として、 土壌保全留保計画(CRP) 対象地を緊急に草地として利用する対
策を実施することも発表した。 CRPは、 土壌の保全を目的として、政府が生産者へ
借地料を支払った上で、 一定期間休耕を義務付ける事業であるが、 本対策では、 
干ばつ等の自然災害により牧草の生産が40%以上の減収となった場合に、 当該
地域における畜産農家に対して、緊急にCRP対象地での牧草の生産を認めることと
するものである。 ただし、 この場合、CRP事業に基づく政府からの借地料は25〜
35%削減されることになる。 

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