◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉畜産公社(AMLC)によると、97年の豪州の牛肉輸出量は80万2千 トン(船積み重量ベース)で、前年比15.4%増の大きな伸びとなり、95年 の水準をも上回った。月別にみると、4月以降おおむね15〜40%台の伸び率 となり、回復が顕著になっている。 豪州の牛肉輸出が勢いを取り戻したのは、最大の輸出先である日本向け(シェ ア39%)が31万2千トンで前年比11.1%増、第2の輸出先である米国向 け(シェア28%)が22万1千トンで同22.7%増となり、合わせて3分の 2のシェアを占める日本及び米国への輸出回復が大きな役割を果たしている。 ◇図:豪州の牛肉輸出量推移◇
対日輸出の動向をみると、97年には、腸管出血性大腸菌O−157問題も沈静 化し、牛肉消費が回復してきたことなどからおおむね順調に推移したが、特にグ ラスフェッドのフローズン牛肉が30%以上と他の種類に比べてより大幅な増加 を記録した。これは、日本国内におけるハンバーガー消費の増加が著しく、それ に伴ってビーフパティの生産量が大きく伸びているとみられることなどから、原 料の多くを占める豪州産加工用牛肉の輸入量が大幅に増加していることが一因と 考えられる。 また、対米輸出の動向については、一時的に減少した月はあるものの年間を通 して好調を維持し、前年比22.7%増と、95年の水準を大きく上回った。対 米輸出が好調の背景としては、減少局面に入った米国のキャトルサイクルの影響 でと畜頭数の減少が続いていることや、米ドルに対する豪ドル安の傾向などが主 な要因と考えられる。 対日牛肉輸出状況(97年) 資料:AMLC「Meat & Livestock Review」 注:( )内は前年比
その他主要相手国では、韓国向けが前年比5.8%増の6万1千トンとなった ほか、カナダ、台湾、ASEAN諸国向けがいずれも20〜40%台と大きな伸びを示 した。 ◇図:豪州の牛肉国別輸出量◇ アジア向け輸出(日本を除く)は、これまで同地域の急速な経済成長を背景に 増加基調で推移してきたが、97年7月のタイバーツ下落に端を発した通貨危機 により、同地域への輸出減速が懸念されている。今のところほとんどの国におい て97年通算ではいずれも増加しているものの、韓国およびインドネシア向けに ついては9月以降の輸出が既に減少しており、今後の動向が注目される。
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