米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減速基調のブロイラー生産


83年以来の最低増加率

 米農務省(USDA)によると、97年のブロイラー生産量(可食処理ベース、骨
付き、以下同じ)は、前年比2.1%増の1,220万トンとなり、83年以来
最も低い増加率にとどまった。98年に入ってからは、悪天候の影響などを受け
て一段と減速基調が強まっており、98年1〜2月までの生産量は、前年同期に
比べ1.3%の減少となっている。


減少傾向を示すひな導入羽数

 ブロイラー生産の指標となるひな導入羽数の前年比増減率をみると、97年1
0月をピークに減少傾向を示している。97年累計では前年に比べ3.7%増で
あったが、98年に入ってからは前年水準を下回る週もあり、1〜2月までの累
計では、前年同期比0.3%増とほぼ前年並みとなっている。また、最終週の主
要15州におけるひな導入羽数は、前年同期に比べて1.6%減となっており、
これらのひなは4月中には処理されることから、20年以上にわたって増加の一
途をたどってきたブロイラー生産も、減速の兆しが見え始めている。

◇図:ひな導入羽数(前年比)の推移◇


価格低下が背景

 このような生産基調を導いた主な要因は、低調な卸売価格である。丸どり卸売
価格は、97年5月以降、一貫して前年水準を下回って推移しており、97年平
均の丸どり卸売価格(中抜き、12都市平均、以下同じ)は、前年に比べて4%
下回った。丸どり価格は、97年12月を底値として再び上昇傾向にあるものの、
98年に入っても依然として前年水準を下回っており、98年1〜2月の平均卸
売価格は前年同期に比べて8.8%下回っている。


通年では約5%増の見込み

 しかしながら、USDAでは98年生産量について、下半期に牛肉生産の減少が予
測されていることなどから、通年のブロイラー生産は前年比5%程度の増加にな
ると見込んでいる。また、98年以降についても、付加価値や加工度の高い調理
済み製品を中心とした需要の拡大が見込まれていることから、引き続き生産は拡
大基調にあるとしている。

 また、生産者(加工業者)の収益性は、低調な卸売価格を反映して、97年の
秋以降減収となっていたものの、12月を底に98年1月からは増収に転じてお
り、このまま収益性の向上が継続されれば、再び生産者の増産意欲が促進され生
産拡大につながるものと考えられる。

◇図:ブロイラー生産の純利益の推移◇



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