◇絵でみる需給動向◇
豪州の輸出統計によると、97/98年度上半期(97年7月〜12月)の脱 脂粉乳の輸出量は、前年同期比12%減の約8万3千トンとなった。 輸出量が前年同期をかなり大きく下回った背景には、主要な輸出先である東南 アジア地域における通貨危機の影響や、比較の対象となる前年度の輸出が一昨年 同期を40%上回る高い水準であったことが挙げられる。 さらに、EUが97年10月に脱脂粉乳の輸出補助金を14%引き上げたことや、 米国も97年には乳製品輸出奨励計画(DEIP)による脱脂粉乳輸出をウルグアイ ラウンド(UR)合意に基づく上限まで実施しているなど、豪州の競争相手である EUおよび米国が国内(域内)需給の緩和を背景に、積極的に補助金付き輸出を行 っていることも影響しているものと思われる。 ◇図1:脱脂粉乳輸出量の推移(7−12月)◇
輸出相手国別のシェアを見ると、東南アジア諸国が中心となっており、マレー シア、フィリピン、タイ、日本、インドネシア、シンガポールの上位6カ国で全 体の77%を占めている。 第1位のマレーシアは、他の5カ国が軒並み前年同期に比べて減少しているの に対して、5%の増加となった。一方、第2位のフィリピンは、文化的に米国の 影響を強く受けているため、他のアジア諸国と比較して伝統的に乳製品の需要が 多く、ここ数年連続して最大の輸出先であったが、前年同期比27%減(1万7 千トン)となった。また、日本向け輸出については、当該時期における緊急輸入 分の豪州産脱脂粉乳の落札数量が前年度より半減したため、前年同期比23%減 (7千9百トン)となった。その他の輸出相手国についても、シンガポールが同 41%減(4千8百トン)、タイが同24%減(1万トン)となるなど、主要輸 出先で約2〜4割の大幅な減少となっている。 ◇図2:脱脂粉乳の相手国別輸出割合◇
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