◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランドでは、90年代に入ってから、牛群検定の普及率が急速に高 まっている。 家畜改良公社(LIC)によると、96/97年度には、酪農家戸数では全体の8 7.2%に当たる1万2,851戸、また、経産牛頭数では全体の89.6%に 当たる274万5,967頭が検定に参加しており、ともに約9割と過去最高の 普及率を記録した。 ◇図1:牛群検定参加農家および経産牛の割合◇
ニュージーランドの酪農経営は、放牧主体であり、牧草地の状態や粗飼料の質・ 供給量が干ばつなどの気候条件に左右されるため、検定牛の1頭当たり泌乳量は 年による変動が大きい。しかしながら、長期的には改良が進展している結果、泌 乳量も増加傾向で推移しているといえる。 96/97年度は、天候に恵まれたことなどから、前年度を約4%上回る3,6 41リットルとなり、史上最高の成績となった。その結果、経産牛頭数の増加と あいまって、96/97年度の生乳生産量も史上最高(1,100万トン)を記 録している。 ◇図2:1頭当たり年間泌乳量の推移◇
一方、乳成分をみると、96/97年度における平均乳脂肪率は4.78%(1 頭当たり年間173kg)、また、平均乳たんぱく率は3.66%(同133kg)で あった。乳成分も気象条件の影響を受けるが、乳脂肪率は、過去20年以上にわ たって、ほぼ4.7〜4.8%台で安定的に推移している。また、乳たんぱく率 も、統計が始まった88/89年度からの8年間では、3.6%台の水準で安定 的に推移している。生乳生産量の95%が加工用に仕向けられるニュージーラン ドでは、乳成分率が高水準で安定していることが重要である。 また、乳質の改善も進展しており、1ミリリットル当たりの体細胞数は、過去 7年間に顕著な減少傾向を示し、96/97年度には20万個と、過去最低とな った。乳質の改善は世界的にも酪農経営の重要な課題となっており、ニュージー ランドにおいても飼養管理技術の向上などの乳質改善のための努力が積極的に続 けられている。
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