◇絵でみる需給動向◇
97年のバター生産量は、前年比2.3%減の52万1千トンとなり、93年 から5年連続の減少となった。この背景としては、まず、第1にバターの消費量 の減少が挙げられる。1人当たりのバター消費量は、一貫して減少傾向が続いて おり、90年代前半に一時持ち直したものの95年から再び減少している。第2 に、消費が順調に伸びているチーズに生乳が仕向けられ、バター生産用原料乳の 安定的確保が難しくなっていることが挙げられる。結果として、近年、バターの 需給バランスが崩れ易くなっており、価格の変動が大きくなっていると見られる。 ◇図:バターの生産量と1人当たり消費量の推移◇
脱脂粉乳の生産量は、前年比13.8%増の54万8千トンとなった。96年 は生乳生産の減少とチーズ生産が増加した影響で脱脂粉乳の生産が落ち込んだた め、前年との比較ではかなり大幅な増加となっている。しかし、95年との比較 では2.1%減となり、97年の脱脂粉乳生産量は、87年以降最高であった9 5年の生産水準には達しないものの、ほぼ回復したと言える。一方、脱脂粉乳の 消費量は伸び悩んでいると見られるため、在庫量は97年4月以降前年水準を上 回って推移し、一時は、96年の2倍以上の高い水準にあった。年末に向かい在 庫は減少しているものの、97年12月末の民間在庫量は、前年比44.9%増 の4万7千トンに達している。 ◇図:脱脂粉乳の生産量と1人当たり消費量の推移◇
チーズ(カッテージチーズを除く)の生産量は、前年比1.9%増の333万 5千トンとなり、92年から6年連続の増加となった。USDAの統計上の分類によ ると、チェダーチーズなどのアメリカンタイプのチーズは、同0.1%増の14 8万9千トンと前年と同水準になっているものの、ピザなどに多く使われている モッツァレラなどのイタリアンタイプのチーズは、同3.5%増の132万1千 トンと増加している。イタリアンタイプの約8割を占めるモッツァレラの生産量 が、同1.1%増と低い伸びにとどまっている一方、その他のイタリアンタイプ のチーズは、同13.1%増と高い伸びを示しており、チーズ生産の多様化が進 んでいる。 ◇図:チーズ生産量の推移◇
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