◇絵でみる需給動向◇
先般、台湾省政府農林庁が発表した97年11月末センサスによれば、養豚農 家戸数は2万戸となり、口蹄疫発生後、初のセンサスとなった前回の97年7月 末センサスと比較すると6.6%の減少となった。また、これを口蹄疫発生直前 の96年11月センサスと比較すると、19.3%の大幅な減少となっている。 調査結果を飼養規模別にみると、飼養頭数99頭以下の小規模農家が9千8百 戸で全体の48.1%を占め、100〜999頭の中規模農家が8千8百戸、4 3.1%とこれに次いで多く、1,000頭以上の大規模農家の割合は8.7% となっている。 1戸当たりの平均飼養頭数をみると、飼養頭数99頭以下の層で27頭、10 0〜999頭の層が378頭となるなど、いずれの規模階層においても前回調査 時より減少しており、肉豚の供給過剰という状況に対して、各農家が経営規模を 縮小することによって対応していることがうかがわれる。 ◇図:養豚農家戸数の推移◇
飼養規模100頭以上の農家を対象に行われた今後の養豚経営に関する意向調 査結果によると、1万1千戸のサンプル農家のうち、65%の農家が現状の飼養 規模の維持を希望しており、拡大を希望している農家は3%に過ぎないことがわ かった。一方、前回調査でも8%に過ぎなかった規模縮小の意向を持つ農家は3 2%に増加しており、今なお多くの農家が状況を見極めようとする中、長期にわ たる肉豚卸売価格の低迷や環境規制の強化など、養豚を取り巻く状況が厳しさを 増す中で、飼養規模の縮小に踏み切ろうとする農家が多くなっていることが浮き 彫りとなった。
今回のセンサスの結果、今後も肉豚の供給過剰傾向が続くとみて、農業委員会 (農業省に相当)はさらなる肉豚の減産の必要性を指摘している。台湾は口蹄疫 の発生により、輸出市場を失ったことから、生産された肉豚を国内市場のみで消 費せざるを得ない状況が続いているが、政府系機関紙「養猪報導」によると、こ の場合の適正飼養頭数は720万頭から750万頭とされる(今回センサス:7 97万頭)。同委員会は、98年1月15日から自主的に実施されている「繁殖 母豚と子豚の淘汰による豚価安定計画」が順調に進めば、実施後5ヵ月でバラン スのとれた需給状態に向かい、肉豚卸売価格も合理的な価格が望めるとして、こ の計画への積極的な参加を重ねて呼びかけている。 規模別養豚農家戸数 資料:台湾省政府農林庁「台湾地区養豚頭数調査報告」 注:( )内は前回比
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