98年度農産物政策価格パッケージ案を採択(EU)




畜産物の政策価格は現状維持

 EU委員会は、2月5日、98年度の域内農産物の介入価格、奨励金などを一括
して定める政策価格パッケージ案を採択した。これによると、農産物の政策価格
はおおむね現状維持の内容となった。

 畜産物の政策価格は以下の通りで、いずれも前年と変わっていない。

98年度政策価格パッケージ案

 注:政策価格の適用年度は、牛乳・乳製品、牛肉および豚肉については、98
   年7月1日から99年6月30日、また、羊肉については、98年1月2
   日から99年1月1日となっている。

 また、畜産関係では、雄牛特別奨励金制度の一部変更が採択された。これによ
ると、スペインおよびポルトガルでは、同制度に係る交付対象頭数の上限が10
%の範囲内で引き上げられることとなった。この結果、スペインでは約65万頭、
ポルトガルでは約17万頭の雄牛(去勢牛を含む)に奨励金を交付することがで
きる。その一方で、他のEU諸国は、96年11月のEU農相理事会で決定した牛肉
市場安定化対策に基づき、97、98年と行われてきた同制度の上限頭数の20
%引き下げ措置(EU全体で上限頭数を約920万頭とする)をさらに1年間延長
することとなった。

 なお、畜産関係以外の主な変更点は、麻の作付けに係る補助金が25%と大幅
に削減されたのをはじめ、米の介入価格が5.3%引き下げられた。


97年の畜産物市場はおおむね良好

 また、EU委員会は、今回の提案の採択に当たり、97年のEUの畜産物市場につ
いて次のように総括している。牛肉については、96年春に発生した牛海綿状脳
症(BSE)の影響が96年秋から徐々に回復し、国ごとに差異が見られるものの消
費者の信頼は着実に回復してきている。豚肉については、97年に入って発生し
た豚コレラの影響により、域内豚肉価格が一時的に高騰したことなどから、大部
分の生産者にとっては市場の環境は良好であった。また、鶏肉については、一時
的に高騰した豚肉からの代替需要などもあり、極めて良好な展開になったとして
いる。


今後のCAP改革を控え、取りまとめを急ぐ

 例年、農産物政策価格パッケージ案の採択に当たっては、加盟国間で活発な議
論が展開されている。しかしながら、今回の採択に当たっては、昨年7月に発表
された「アジェンダ2000」に基づき3月から行われる共通農業政策(CAP)改
革の協議を控えていることから、各国が今後のCAP改革議論に集中するため、でき
る限り無用の議論を排除したものとなった。なお、今回決定された政策価格パッ
ケージ案については、今後、EU農相理事会で検討されることとなる。



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